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IX.市民公益税制改正のポイント

 「新しい公共」によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)をはじめとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境が税制面から支援されました。

 認定NPO法人への寄附について、草の根の寄附を促進するため、所得税において新たに税額控除が導入され、所得控除との選択制とされるほか、地域において活動するNPO法人等の支援(個人住民税)地域において活動するNPO法人を支援するため、控除対象寄附金の拡大が行われました。また、「ふるさと寄附金」を活用してNPO法人等への支援を促進するため、控除対象寄附金の取扱いを明らかにすることを通じて寄附しやすい環境が整備されました。


1 所得税の税額控除制度の導入

 認定特定非営利活動法人(以下「認定NPO法人」といいます。)及び公益社団法人等への寄附について、次のとおり、税額控除制度が導入されました。


【1】認定NPO法人に寄附をした場合の所得税額の特別控除

 個人が、各年において支出した認定NPO法人に対する寄附金(総所得金額等の40%相当額を限度)で、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額を限度)がその者のその年分の所得税額から控除できることとされました。(措法41の18の2)

いずれか
を選択
所得
控除
(1)(2)とのいずれか少ない金額〕−2,000円
 (1)特定寄附金の額
 (2)総所得金額等×40%
税額
控除
〔控除対象寄附金額(注1)―2,000円〕×40%=税額控除限度額(注2)
 (注1)総所得金額等の40%相当額が限度
 (注2)所得税額の25%相当額が限度

 「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

【判定上の注意】
(1)  税額控除限度額(所得税額の25%相当額)は、公益社団法人等寄附金税額控除と合わせて判定されます(政党等寄附金税額控除の税額控除限度額は別枠で判定されます。)。
(2)  控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2,000円)は、現行の寄附金控除(所得控除)並びに政党等寄附金税額控除及び公益社団法人等寄附金税額控除の寄附金と合わせて判定されます。

適用期日 この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。


【2】税額控除対象法人に寄附をした場合の所得税額の特別控除

 個人が、各年において支出した公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人又は更生保護法人(現行の寄附金控除(所得控除)の対象となっている法人に限ります。)のうち、次に掲げる要件を満たすもの(以下「税額控除対象法人」といいます。)に対する寄附金(総所得金額等の40%相当額を限度)で、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額を限度)をその者のその年分の所得税額から控除できることとされました。(措法41の18の3)

【適用要件】
認定NPO法人の認定要件であるパブリック・サポート・テスト(以下「PST」といいます。)と同様の要件(次ページ(1)の表で示されている新たに導入される絶対数により判定する方式を含みます。)
認定NPO法人の認定要件と同程度の情報公開に関する要件

【判定上の注意】
税額控除限度額(所得税額の25%相当額)、控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2,000円)は、上記【1】【判定上の注意】に準じた方法で判定されます。

適用期日 この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

 

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