目次 V-3


3 「日本版プランド・ギビング信託」に係る利子所得の非課税の創設

 次のとおり特定寄附信託(いわゆる「日本版プランド・ギビング信託」)に係る利子所得の非課税制度が創設されました。(措法4の5)

特定寄附信託契約に基づき設定された信託の信託財産につき生ずる利子所得(利子所得の基因となる公社債等が当該信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額に限ります。)については、所得税が課されないこととされました。
特定寄附信託契約とは、居住者等が金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により信託業務を営む金融機関又は信託業法の免許を受けた信託会社と締結した当該居住者等を受益者とする信託に関する契約であって、特定寄附金の対象となる公益社団法人、公益財団法人又は認定NPO法人等(以下「公益法人等」といいます。)への寄附を行うことを主たる目的とするもののうち、次に掲げる要件を備えたものをいいます。
(イ) 信託財産からの寄附は、公益法人等に対してのみ行うものであること。
(ロ) 信託契約期間中の各年に信託財産から寄附される金額は、当初信託元本額(下記(ハ)により委託者に交付される金額の合計額を除きます。)を信託契約期間の年数で除した金額と当該寄附をする日までの間に生じた利子の合計額(前年までに既に寄附された利子の金額を除きます。)とされていること。
(ハ) 信託契約期間中に信託財産から委託者に金銭の交付をする場合には、その交付される金銭の額は当初信託元本額の30%を限度とし、かつ、信託契約期間にわたって各年均等に交付されるものであること。
(ニ) 信託の受託者がその信託財産として受け入れる資産は、金銭に限られるものであること。
(ホ) 信託の信託財産の運用は、次に掲げる方法に限られるものであること。
 (a) 預貯金
 (b)  国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券又は貸付信託の受益権の取得
 (c) 合同運用信託の信託
(ヘ) 信託財産を寄附する日の前日までに、信託の受託者がその寄附を受ける法人等との間で寄附に関する契約(寄附金を支出する日等の定めがあるものに限ります。)を締結していること。
(ト) 信託は、合意による終了ができないものであること。
(チ) 信託の受益権は、譲渡又は担保提供ができないこと。
(リ) 委託者が死亡した場合には、信託は終了し、その信託財産のすべてを公益法人等に寄附することとされていること。
(ヌ) 信託の計算期間は1月1日から12月31日までとされていること。
特定寄附信託の委託者は、当該特定寄附信託に係る信託契約の締結の後最初に上記イの非課税の適用がある利子の支払を受ける日の前日までに、その者の氏名等を記載した非課税申告書に当該特定寄附信託に係る信託契約書を添付して、これを受託者を経由し、委託者の住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
特定寄附信託について、上記ロの要件を満たさないこととなる事実が生じた場合には、その事実が生じた日以前に信託財産から生じた利子については、上記イの非課税の適用はなかったものとし、かつ、その事実が生じた日においてその利子が生じたものと、当該受託者がその利子を支払ったものとそれぞれみなして、利子の源泉徴収に関する規定が適用されます。
特定寄附信託の受託者は、信託の計算書に、当初元本額、寄附金額、寄附先の法人等の名称等を記載して、その信託の計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日までに税務署長に提出しなければなりません。
特定寄附信託の委託者が、当該特定寄附信託契約に基づき公益法人等に対して寄附した金額のうち、上記イにより非課税となった利子所得に相当する金額に係る部分は、寄附金控除は、適用されません。
その他所要の措置が講じられました。


■日本版「プランド・ギビング」信託の創設【所得税、個人住民税】

 特定寄附信託(いわゆる「日本版プランド・ギビング信託」)に係る利子所得の非課税制度が創設されました。(措法4の5)

 学校法人、公益社団・財団法人等の非営利団体に対しての寄附を目的とする一定の要件(※)を満たした信託(特定寄附信託)について、信託財産から生じる利子所得について非課税とされます(非課税とされた利子等に相当する金額部分は、寄附金控除は適用されません)。

(※) 一定の要件とは
  信託期間満了まで、信託銀行等は指定された非営利団体及び寄附者に各年均等に金銭を交付する。
  非営利団体への寄附割合は最低7割とする。
  信託期間満了前に寄附者が死亡した場合には、信託は終了し、信託財産の全額を非営利団体に寄附をする。

【スキーム図】
(文部科学省「平成23年度文部科学省税制改正の概要」より)


適用期日 この改正は、平成23年6月30日以後に締結する特定寄附信託契約に基づき設定された信託(「プランド・ギビング信託」)の信託財産につき生ずる利子等について適用されます。(税制整備法附24

 

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