目次 II-6


6 その他の法人税制関連の改正

【1】公共施設等運営権の無形固定資産としての取扱い

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正(平23法律57号)を前提に、同法に規定する公共施設等運営権を法人税法上の減価償却資産(無形固定資産)とし、その耐用年数が事業権登録簿に記載された存続期間とされます(所得税についても同様とされます。)。


【2】棚卸資産の切放し低価法の廃止 (法法29、法令28)

 棚卸資産の評価について、切放し低価法が廃止されました。

 この結果、低価法は洗替え低価法のみとなりました。

  (注)  平成23年3月31日以前に開始した事業年度(同年4月1日以後に開始し、かつ、平成23年6月30日前に終了した事業年度を含む。)における期末棚卸資産の評価額の計算については、従前どおりとされます。なお、同年4月1日以後に開始し、かつ、平成23年6月30日以後最初に終了する事業年度の直前の事業年度において切放し低価法の適用を受けていた棚卸資産の同年4月1日以後に開始する各事業年度(平成23年6月30日前に終了する事業年度を除く。)終了の時における評価額の計算については、当該直前の事業年度終了の時における評価額により取得したものとみなされます。(法令附5)


【3】法人税の中間納付制度の仮決算の見直し (法法72、81の20)

 法人税の中間納付制度については、あえて仮決算を行い、予定納税額を超える中間納付を行って、確定申告において還付金を生じさせ、還付加算金を受け取る事例について指摘がありました。そこで、今回の税制改正では、この仮決算による中間税額が前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告書が提出できないこととされました。

 次の場合には、仮決算による中間申告書が提出できないこととなります。

(1) 前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除し、これに6を乗じて計算した金額が、10万円以下である場合又はその金額がない場合
(2) 仮決算による中間申告書に記載すべき法人税の額が、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除し、これに6を乗じて計算した金額を超える場合


【4】次世代育成支援対策推進法の認定企業に係る割増償却制度の創設

 平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に開始する各事業年度において、青色申告書を提出する法人で次世代育成支援対策推進法の認定を受けたものが、その認定の日を含む事業年度終了の日において有する建物等で事業の用に供したもののうち、その認定の日を含む事業年度及び当該認定に係る一般事業主行動計画の期間内に新築をし、又は増築若しくは改築をしたものについて、当該認定の日を含む事業年度において普通償却限度額の32%の割増償却ができる措置が講じられました(所得税についても同様とされました。)。(措法13の4、46の4、68の33


【5】肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の見直し

 本特例について、次のとおり見直しが行われた上、その適用期限が平成26年までの各年(法人は平成27年3月31日までの期間内の日を含む各事業年度)まで延長されました。(措法25、67の3、68の101)

免税対象牛の売却頭数要件の上限が年間1,500頭(改正前年間2,000頭)に引き下げられました。
免税対象牛の範囲から売却価額80万円以上(改正前100万円以上)の交雑牛が除外されました。

適用期日 上記の改正は、平成24年分以後の所得税及び平成24年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用されます。(税制整備法附32、62、77)


【6】その他の特別償却制度の改正

公害防止用設備の特別償却制度 償却割合が100分の8(改正前100分の14)に引き下げられました。(措法11、43、68の16)
船舶の特別償却制度 経営の合理化に著しく資する外航船舶のうち日本船舶に該当しないものに係る償却割合が100分の16(改正前100分の18)に引き下げられました。(措法11、43、68の16
共同利用施設の特別償却制度 償却割合が100分の6(改正前100分の8)に引き下げられた上、その適用期限が平成24年3月31日まで延長されました。(措法44の3、68の24)
特定高度通信設備の特別償却制度の創設 青色申告書を提出する法人で中小企業者に該当するもののうち電気通信基盤充実臨時措置法に規定する実施計画について同法の認定を受けたものが、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律(平23法律59号)の施行の日から平成25年3月31日までの間に、特定高度通信設備の取得等をして、過疎地域等一定の地域内においてその事業の用に供した場合には、その特定高度通信設備の取得価額の100分の15相当額の特別償却ができることとされました。(措法44の5、68の26)
医療用機器等の特別償却制度 次のとおり見直しが行われた上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長されました。(措法12の2、45の2、68の29)
(イ) 医療用機器に係る措置について、次のとおり見直しが行われました。
 a  高度な医療の提供に資する医療用機器又は先進的な医療用機器に係る償却割合が100分の12(改正前100分の14)に、医療の安全の確保に資する医療用機器に係る償却割合が100分の16(改正前100分の20)にそれぞれ引き下げられました。
 b  対象となる医療用機器から新型インフルエンザに係る医療の提供を目的とする病床の確保に資する医療用機器が除外されました。
(ロ) 特定増改築施設に係る措置及び建替え病院用等建物に係る措置が除外されました。
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度 対象となる要件に、基準雇用障害者数が20人以上ものであること等一定の要件が追加され、改正前の要件との選択適用とした上、その適用期限が平成26年3月31日まで延長されました。(措法13、46の2、68の31)
特定再開発建築物等の割増償却制度 対象から都市再生特別措置法の認定整備事業計画に基づく都市再生整備事業により整備される建築物に係る措置が除外された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長されました。(措法14の2、47の2、68の35)


 

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