目次 II-3


3 住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡大延長等

住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の上積み枠の廃止等

 厳しい経済情勢の下、住宅着工戸数は低水準で推移しています。この状況下で、高齢者の保有する眠れる金融資産を活用し、若年世代等の住宅取得を支援するため、住宅取得等資金に充てるための資金の贈与について、以下の措置が講じられます。これは「眠れる金融資産を活用した住宅取得の促進」といわれる制度で、高齢者が保有している約1,500兆円の金融資産を活用し、若年世代の住宅取得とともに景気回復を図ろうとするものです。


【1】住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡大(贈与税)

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置が講じられます。

(1) 非課税限度額(現行500万円)が次のように引き上げられます。
(イ)平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
(ロ)平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
(2) 適用対象となる者が贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定されます。
(3) 適用期限が平成23年12月31日(現行平成22年12月31日)までとされます。

適用期日 この改正は、平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。ただし、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、平成21年6月に創設された現行の制度と選択して適用できることとされます。


 【現行制度との比較】
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税非課税措置 改正内容
現 行 改正案
平成22年 平成23年
非課税枠 500万円 1,500万円 1,000万円
適用対象となる者の贈与を受けた年の合計所得金額要件 なし 2,000万円

 【新非課税枠】
1,500万円
合計所得金額が2,000万円以下の者に限定
平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者⇒いずれかの制度を選択適用できる  【現行制度】
500万円
合計所得金額要件なし

(注) 平成23年については、現行制度との選択制の適用はありません。


【2】住宅取得等資金贈与に係る相続時精算課税制度の上乗せ額の縮減等

 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限が平成23年12月31日(現行平成21年12月31日)まで2年間延長されます。

  現行   改正案
住宅取得等資金の
贈与に係る
相続時精算課税制度
3,500万円
一般枠2,500万円
+1,000万円
2,500万円
一般枠2,500万円
+廃止
【贈与者の年齢要件】
65歳未満の親からの
贈与でもよい
平成15年1月1日〜
平成21年12月31日
平成23年12月31日
まで2年間延長

注意点! 住宅取得等資金ではない財産を贈与する通常の相続時精算課税制度の場合は、贈与者(親)は、その贈与の年の1月1日において65歳以上であることが必要です。


 【現行の制度と改正案の比較】


(国土交通省「平成22年度国土交通省関係税制改正要望・主要項目結果概要」より)

 

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