目次 II-2


2 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価の見直し

 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること等を踏まえ、次の見直しが行れます(相続税法24)。


(1)給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額

 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とされます。

(1) 解約返戻金相当額
(2) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金相当額
(3) 予定利率等を基に算出した額


(2)給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額

 原則として、解約返戻金相当額とされます。

適用期日 (1)の改正は、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に契約締結して、その期間内に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利(確定給付企業年金等に係るものを除く。)及び平成23年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用されます。
(2)の改正は、平成22年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用されます。




 ●見直し後の評価方法が適用される「定期金に関する権利」
(注)確定給付企業年金等を除きます。


【参考】 定期金に関する権利の評価方法等の見直し(相続税・贈与税)

定期金に関する権利の評価における割合・倍数(現行)は、昭和25年当時の金利水準・平均寿命な どを勘案して定められたもの。
その後の金利水準の低下や平均寿命の伸長、現行評価方法による算定額と年金受取額の現在価値と が大きく乖離していること等を踏まえ、所要の経過措置を講じた上で、次のような権利の評価方法 の見直しを行う。

現 行   改正案
1. 給付事由(被保険者の死亡等)が発生しているもの
  (1) 有期定期金…次の(a)、(b)のいずれか低い額
(a) 給付金額の総額
×残存期間に応じた割合(20〜70%)
    (b) 1年間に受けるべき金額×15倍
  (2) 無期定期金
1年間に受けるべき金額×15倍
  (3) 終身定期金
1年間に受けるべき金額
×受給権者の年齢に応じた倍数(1〜11倍)
2. 給付事由(被保険者の死亡等)が発生していないもの
    払込済保険料等(総額)
×払込開始の時からの経過期間に応じた割合(90〜120%)
 
1. 給付事由(被保険者の死亡等)が発生しているもの
  (1) 有期定期金…次の(a)〜(c)のいずれか高い額
(a) 解約返戻金相当額
    (b) (定期金に代えて一時金の給付を受けられる場合)一時金相当額
    (c) 1年間に受けるべき金額
×約定利率の複利年金現価率(残存期間に応ずるもの)
  (2) 無期定期金…次の(a)〜(c)のいずれか高い額
(a)、(b)…上記(1)(a)、(b)に同じ
    (c) 1年間に受けるべき金額÷約定利率
  (3) 終身定期金…次の(a)〜(c)のいずれか高い額
(a)、(b)…上記(1)(a)、(b)に同じ
    (c) 1年間に受けるべき金額
×約定利率の複利年金現価率(平均余命に応ずるもの)
2. 給付事由(被保険者の死亡等)が発生していないもの
    上記に準じて、見直しを行う

障害者控除(相続税)について、上記の定期金に関する権利の評価方法の見直しに併せて、制度創設時からの平均寿命の伸長を踏まえ、次のような見直しを行う。
「6万円(特別障害者:12万円)」×【改正案】85歳(現行:70歳)に達するまでの年数」

(注) 複利年金現価率…約定利率をrとしたときに、n年間に渡って受け取る年金総額の現在価値を求める際に用いられる率

(内閣府「税制改正資料(要望にない項目等)」より)

 

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