目次 VII-3


3 NPO税制等の認定要件の見直しと寄附金控除の限度額の引上げ

 今年の改正で、特定非営利活動法人(NPO法人)等への税制上の支援策が講じられます。現在、認定NPO法人制度による税制上の特例措置は次の4つがあります。

(1) 個人が支出した認定NPO法人への寄附金に対する特例措置
(2) 法人が支出した認定NPO法人への寄附金に対する特例措置
(3) 相続人等が認定NPO法人に寄附した相続財産に対する特例措置
(4) 認定NPO法人へのみなし寄附金制度の導入

 このように認定NPO法人にとっては、税制上の特例措置といわれる恩典が数多くありますが、認定が受けられるのは、NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であり、公益の増進に資することについて次の8つの要件を満たすものです。

(1) パブリック・サポート・テストに関する要件
(2) 共益的な活動の制限に関する要件
(3) 運営組織及び経理に関する要件
(4) 事業活動に関する要件
(5) 情報公開に関する要件
(6) 不正行為等に関する要件
(7) 設立後の経過期間に関する要件
(8) 所轄庁の証明に関する要件


(1) NPO税制等の認定要件の見直し

 今年の改正では、以上の要件のうち下記のものについて次のように見直されます。

 (1)  いわゆるパブリック・サポート・テスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が5分の1以上であること)について、直前2事業年度の平均により算定することになります。ただし、各事業年度の割合が10分の1以上である場合に限られます。

 (2)  共益的な活動の制限に係る要件(事業活動のうちに共益的な活動の占める割合が100分の50未満であること)について、次のとおり見直されます。
   会員等の範囲から、単なる顧客が除外されます。
   いわゆるネットワーク型NPO法人(NPO法人等の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動を行うことを主たる目的とするNPO法人)の会員等に対する助成事業のうち、特定公益増進法人又は認定NPO法人が参加する事業が共益的活動の範囲から除外されます。
   その割合が直前2事業年度の平均により算定することになります。

 (3) 運営組織、経理及び事業活動に関する要件について、次のとおり見直されます。
   役員及び社員の親族に係る要件について、親族の範囲が配偶者及び三親等以内の親族に限定されます。
   事業費総額のうちに特定非営利活動事業費の占める割合要件(100分の80以上)について、直前2 事業年度の平均により算定されます。
   受入寄附金総額の100分の70以上を特定非営利活動に充当する要件について、直前2事業年度の平均により算定されます。

 (4)  認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類について、一定の簡素化が図られます。


(2) NPO法人等の寄附金控除の控除対象限度額の引上げ

 個人が認定NPO法人に対し、その認定NPO法人の行うNPO法第2条第1項に規定する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附(その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます。)をした場合には、その寄附に係る支出金を特定寄附金とみなして寄附金控除の適用が認められます。

 今年の改正で、このNPO法人に係るものを含めて寄附金控除の控除対象限度額が総所得金額等の100分の30相当額(現行100分の25相当額)に引き上げられます。

(寄附金控除) 特定寄附金−1万円=寄附金控除額

 なお、特定寄附金の額の合計額が、その年分の総所得金額等の合計額の30%(現行25%)に相当する金額を超える場合には、その30%(現行25%)に相当する金額から1万円を控除した金額が寄附金控除額となります。

 この特定寄附金の限度額の引上げ(総所得金額等の現行25%から30%相当額への引上げ)は認定NPO法人に対する寄附のみならず、寄附金控除の対象となる寄附のすべてに適用されますので、留意ください。

      (現 行)   (改正案)
特定寄附金
の限度額
総所得
金額等
× 25% 30%

一口情報
国民年金の保険料控除は証明書添付を義務化
 確定申告の際、自営業者らが加入している国民年金の保険料を所得控除する際には、社会保険庁が発行する保険料納付証明書の添付が義務付けられます。
 これは急増する年金保険料の未納対策からで、現在は年金保険料を支払っていなくても、納付しましたと金額を記入するだけで済んでいましたが、所得税の課税逃れを防止する意味からもダブル効果があると政府は期待しています。
 証明書添付の義務化は平成17年分以降の所得からが対象で、実際に添付しなければならないのは平成18年3月の確定申告などからになります。

 

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