目次 はじめに


 本コンテンツは平成17年度税制改正法案に基づいて作成していますが、この法案は第162回国会(通常国会)において、3月30日に原案どおり可決成立しました。
 したがって、本コンテンツ内における表記につきましては、「現行」とあるものは「改正前」、「改正案」とあるものは「改正後」と読み替えてご利用ください。


は じ め に

 小泉政権下で行われる改正としては、四度目となる平成17年度の税制改正は、巨額の財政赤字の縮小に向けて一歩踏み出した感があります。しかし、依然としてデフレ状況からは脱却できないままであり、また、景況に少しながら明るさが見え始めてはいますが、経済の減速感がつかめない状況です。そんな中行われる今年の税制改正は、それらの状況に配慮して増減税が交差する様相を呈しています。

 まず、所得税及び個人住民税の税額の一定割合を差し引く定率減税については、平成18年度に半減し、平成19年度には原則廃止する方針ですが、今後の景気の動向いかんでは、さらに見直される可能性があります。

 減税項目としては、住宅ローン控除について一定の耐震性能を満たしていることを条件に、今年の4月以降に入居した住宅であれば、築後年数に関係なく最大で年40万円の所得税額を差し引くことが認められるようになります。また、法人税では従業員の教育費等に使った費用の一定割合の税額を法人税額から控除できるという人材投資促進減税が新設され、特に中小企業に手厚い措置となっています。

  さらに、ベンチャー企業に出資する投資家を優遇するエンジェル税制の適用期限が延長されるほか、債権放棄を受けて民事再生法等による再生等を法的整理で目指す企業が保有不動産などの評価損を課税対象の債務免除益から差し引きできる措置が、私的整理等にも適用できるように手当てされます。

 金融・証券税制では、平成16年末で期限切れとなっている、いわゆるタンス株の特定口座への受入制度がいったん廃止され、本年4月からは新制度による特定口座への受入制度が再開されます。

 一方、増税項目としては、65歳以上の高齢者で年間所得金額125万円以下の者に適用される住民税の非課税措置が、平成18年度から3年間で段階的に廃止されます。

 さらに、今年の改正では、従来にはみられなかった国際課税にもメスが入れられ、二重課税や租税回避の防止策も盛り込まれ、海外投資家に対しては課税強化が行われます。そのほか、個人、法人、国、地方とあわせ当初の予想以上の大幅改正となっています。

 ここでは、これらの重要な改正のほとんどをカバーし、要点を体系化・図解化し、場合によっては設例を挿入し、わかり易く解説いたしました。

 

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