目次 VI-3


3 日米租税条約の改正に伴う国際課税制度の適正化

 国際的な投資交流を促進する観点から30年ぶりに日米租税条約が改正されることを契機に関連国内法令の整備が行われます。

[1]日米両国で課税上の取扱いが異なる事業体への条約の適用に関する措置

 日米新租税条約において両国で課税上の取扱いが異なる事業体に対する条約の適用に関する規定が設けられたことを受けて、国内法上課税関係及び適用手続を明確化するための所要の措置が講じられます。


[2]特典制限条項の適用に関する措置

 日米新租税条約において、条約相手国以外の第三国の居住者による条約の濫用を防止するための、所定の要件を満たした条約相手国の居住者に対してのみ条約の特典を付与する規定(特典制限条項)が設けられたことを受けて、条約の適用手続に関し所要の措置が講じられます。

日米新租税条約のポイント

1 .投資所得の源泉地国の課税を免税又は軽減
投資所得(配当、利子、使用料)の源泉地国の課税を軽減
(現 行)   (改正案)
配 当 親子間配当
(持株割合10%以上)
10%
ポートフォリオ配当
(その他)
15%
利 子 10%
使用料 10%
配 当 免税 (持株割合 50%超)
 5% (持株割合 10%以上50%以下)
10% (その他)
利 子 10%(但し、金融機関等が受け取る利子は免税)
使用料 免税

2.その他の措置
 (1) 移転価格課税処分を課税年度終了時から7年以内の調査開始に制限することにより予見
 (2) 米国が条約に反する国内立法を行う際には、3か月以内の協議開始を義務付け
 (3) 在米邦銀等支店に係る支店利子税を免税
 (4) 外国保険会社に係る米国の特別な税を免税
 (5) 両国間で課税上の取扱いが異なる事業体に対して新条約を適用
 (6) 免税措置の拡大に併せて租税回避行為を包括的に防止する措置を導入

3.国内法令の設備
 新条約に新たに設けられる措置を国内制度として適正に運用するための国内法令の整備

 

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