目次 はじめに


 本コンテンツは平成16年度税制改正法案に基づいて作成していますが、この法案は第159回国会(通常国会)において、3月26日に原案どおり可決成立しました。
 したがって、本コンテンツ内における表記につきましては、「現行」とあるものは「改正前」、「改正案」とあるものは「改正後」と読み替えてご利用ください。


は じ め に

 小泉政権下で三度目となる平成16年度税制改正は、デフレ不況を脱却するための経済活性化に取り組むことをメーンテーマに進められました。わが国経済は、わずかに景況の明るさが見えはじめてきているもののまだまだ足腰は弱く、この機会に活力ある経済社会を実現するために、また、構造改革を進めるために取り組まなければならない課題が多くあります。その一つは、少子高齢化社会下での年金・医療、介護等の再構築と「国から地方へ」と地方の自立と発展です。いわゆる三位一体改革の推進です。

 このような課題を抱えながら、平成16年度税制改正は、できる限りの工夫をして経済の活性化とデフレからの脱却に取り組むための住宅・土地税制や年金税制などの改正がたくさん盛り込まれています。

 まずは、住宅ローン減税制度の延長や土地の譲渡益課税の軽減を行い土地取引の活性化を促進するとともに、住宅を売却してもローン返済残高が残る者への再出発への支援のために特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度が創設されます。下落が続く商業地の固定資産税の減額については地方公共団体等の条例の定めにより実施できることになります。

 つぎに、現役世代と高齢世代との税負担のバランスを考え公平化を図る観点から、公的年金等控除制度の65才以上の上乗せ措置の廃止、老年者控除制度の廃止などが盛り込まれています。

 また、中小企業・ベンチャー企業支援の観点から、非上場株式の譲渡益の税率の引下げ、エンジェル税制の適用対象特定中小法人の範囲の拡大等の改正が行われます。

 金融・証券税制では、公募株式投資信託の譲渡益課税の上場株式並み課税への改正等が行われます。

 三位一体課税への取り組みの一環として、個人住民税の均等割りの見直しや生計同一の妻への非課税措置の段階的廃止、固定資産税の制限税率の廃止などが行われます。

 その他、個人の青色申告特別控除制度の見直し、帳簿保存期間の延長、欠損金の繰越控除制度の繰越期間の延長等、連結納税制度の連結付加税の廃止、国際課税制度の適正化、グリーン税制の絞込み等の改正が行われ、当初の予想以上の大幅改正となっています。

 ここでは、これらの改正事項の要点を体系化・図形化し、できるだけわかりやすく解説いたしました。

 

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