目次 V-2


2 IT投資促進税制の創設

 IT投資の促進は、短期的な需要創出効果が見込めるだけでなく、広く我が国企業全体の事業効率化、付加価値向上を通じて、中長期的な産業の競争力強化、経済社会の活性化に期待できると考えられています。

 こうした観点から、平成15年度税制の目玉として次に述べるIT投資促進税制が創設されます。

(1) 平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定のIT関連設備等(後掲載の表参照)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の50%相当額の特別償却と取得価額の10%相当額の特別税額控除との選択適用ができます。(ただし税額控除は、当期法人税額の20%相当額が限度とされ、控除限度超過額については1年間の繰越しができます。)



(2) さらに、資本金が3億円以下の法人にあっては、一定のリース資産(後掲載の表イからリ参照)の賃借をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額について10%相当額の特別税額控除ができます。(ただし、法人税額の20%相当額が限度とされ、控除限度超過額については1年間の繰越しができます。)



【1】 IT投資促進税制の適用対象となるIT関連設備等

 IT投資促進税制の適用対象となるIT関連設備等は、下掲載の表の設備等で、その設備等の種類に応じ、次の盧又は盪の規模以上のものとします。

 (1) 後掲載の表のイからチまでの設備
 IT投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表のイからチまでの設備の取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、140万円以上)となる場合の当該設備

 (2) 後掲載の表のリのソフトウェア
 IT投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表のリのソフトウェアの取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、70万円以上)となる場合の当該ソフトウェア

IT投資促進税制の適用となる取得価額要件
  IT関連設備(イ〜チ) ソフトウェア(リ)
資本金3億円以下の法人 140万円以上 70万円以上
上記以外の法人 600万円以上


【2】 リース税額控除の適用対象となるリース資産

 適用対象となるリース資産は、次の表の設備等で、そのリース費用の総額がそのリース資産の種類に応じ、次の(1)又は(2)の金額以上のものとします。なお、適用対象となるリースは、リース契約期間が4年以上で、かつ、リース資産の耐用年数を超えないものであること等の要件を満たすものに限られます。

 (1) 後掲載の表のイからチまでの設備
 リース税額控除の適用を受けようとする事業年度において、新たにリースをした表のイからチまでの設備のリース費用の総額の合計額が200万円以上となる場合の当該設備

 (2) 後掲載の表のリのソフトウェア
 リース税額控除の適用を受けようとする事業年度において新たにリースをした表のリのソフトウェアのリース費用の総額の合計額が100万円以上となる場合の当該ソフトウェア

税額控除対象となる期間・リース費用総額要件
  期間要件 IT関連設備(イ〜チ) ソフトウェア(リ)
資本金3億円
以下の法人
リース契約期間が4年以上
で、かつ、リース資産の耐用
年数以下
200万円以上 100万円以上

適用期日  この改正は、平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。
 なお、同日前に終了する事業年度において平成15年1月1日から平成15年3月31日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15年4月1日を含む事業年度において、特別税額控除相当額又は特別償却相当額の繰越控除又は償却ができます。
(注) 連結納税制度についても同様の措置が講じられます。


イ 電子計算機
計数型の電子計算機(主記憶装置にプログラムを任意に設定できる機構を有するものに限る。)のうち、処理語長が32ビット以上で、かつ、設置時における記憶容量(検査用ビットを除く。)が256メガバイト(サーバー用のものにあっては、128メガバイト)以上の主記憶装置を有するものに限るものとし、これと同時に設置する附属の入出力装置(入力用キーボード、ディジタイザー、タブレット、光学式読取装置、音声入力装置、表示装置、プリンター又はプロッターに限る。)、補助記憶装置、伝送用装置(無線用のものを含む。)、変復調装置又は電源装置を含む。
ロ デジタル複写機
専用電子計算機(専ら器具及び備品の動作の制御又はデータ処理を行う電子計算機で、物理的変換を行わない限り他の用途に使用できないものをいう。)により発信される制御指令信号に基づき画像情報をデジタル信号に変換し、色の濃度補正、縦横独立変倍又は画像記憶を行う機構を有するもの及び当該専用電子計算機を同時に設置する場合のこれらのものに限るものとし、これらと同時に設置する専用の自動原稿送り装置、排紙分類装置、給紙装置、プリンター又はファクシミリを含む。
ハ ファクシミリ
送受信データを蓄積する機構及び普通紙に受信データを印刷する機構を有するもののうち、最大伝送速度が毎秒28.8キロビット以上のものに限るものとし、これと同時に設置する専用の変復調装置、回線制御装置又は回線接続装置を含む。
ニ ICカード利用設備
ICカードとの間における情報の交換並びに当該情報の蓄積及び加工を行うもので、これと同時に設置する専用のICカードリーダライタ、入力用キーボード、タブレット、表示装置、プリンター又はプロッターを含む。
ホ デジタル放送受信設備
デジタル信号により送信される放送を受信しその信号を処理することが可能なもので、電気通信回線に接続し電気通信信号を発信する機能、瞬間的影像に併せデータの処理を行う機能及び高精細度な画像の処理を行う機能を有するものに限る。
ヘ インターネット電話設備
専ら音声信号の変換又は交換を行う電気通信設備のうちインターネットプロトコルに対応するためのもの及びこれらの呼制御を行う制御装置に限るものとし、これらと同時に設置する専用の端末装置又は変復調装置を含む。
ト ルーター・スイッチ
インターネットを構成するルーター(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を制御する機能を有する専用の電気通信設備をいう。)又はスイッチ(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を選択する機能を有する専用の電気通信設備をいう。)のうち、毎秒45メガビット以上の伝送速度に対応するものに限るものとし、これらと同時に設置する集線装置を含む。
チ デジタル回線接続装置
光伝送の方式における電気信号と光信号との変換の機能を有する装置、デジタル加入者回線伝送方式における音響と符号とを周波数により分離する機能を有する装置、統合デジタル通信網に端末装置を接続する機能を有する加入者回線終端装置及び統合デジタル通信網にアナログ端末を接続する機能を有する信号変換装置に限る。
リ ソフトウエア
電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの及びこれに関連するシステム仕様書その他の書類に限るものとし、複写して販売するための原本及び開発研究(新たな製品の製造若しくは新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行われる試験研究をいう。)の用に供されるものを除く。

 

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