目次 III-1


III.消費税制はこう変わる


1 事業者免税点制度の適用上限の引下げ

 事業者が、消費税の納税を免除される場合は年間課税売上高が3,000万円以下のときですが、平成16年4月からこの適用上限が1,000万円以下に引き下げられます。これにより、新たに約137万事業者が納税対象になると思われます。


  中小事業者に配慮した事業者免税点制度は、制度創設から既に14年を経過しており、事業者免税点の水準(現行=課税売上高が3,000万円以下)は、制度創設以来据え置かれ、依然として368万の事業者(全体の6割強)が免税事業者となっています。このことが、消費者の支払った消費税相当額が国庫に入っていないのではないかとの疑念を根づよく存在させています。また、事業者間取引を行う免税事業者が多数存在し、免税事業者からの仕入税額控除も認められています。そこで、課税の適正化という観点から事業者免税点の水準を大幅に縮減させ1,000万円とされます。


「基準期間」とは次の期間をいいます。

◎個人事業者の場合……その年の前々年
◎法人の場合…… その事業年度の前々事業年度(前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)

 なお、個人事業者の新規開業年とその翌年は基準期間が存在しませんので免税となります。一方、法人では、資本又は出資の金額が1,000万円未満の場合が同様に免税となりますが、資本又は出資の金額が1,000万円以上の場合は新規開業年より課税事業者となりますので注意が必要です。

一口情報 免税事業者が不利な場合
 免税事業者の場合、消費税を納めなくてもよい代わりに、還付もされません。つまり、課税仕入れに際して負担した消費税も控除(仕入税額控除)されません。例えば、建物
を建てたり、機械を購入したりした場合や設備投資をしたときあるいは貸倒れが生じた場合などは課税事業者ですと消費税が還付されますが、免税事業者の場合はそれができません。

注意点 免税事業者でも課税事業者を選択できる!
 免税事業者でも税務署へ届出(消費税課税事業者選択届出書)を提出することによって課税事業者になることはできます。ただし、この届出書は課税事業者になろうとする年の前年末、新規開業のときは開業年の末日(法人の場合は、前事業年度末、新設のときはその事業年度末)までに提出しなければなりません。
 ただし、一度課税事業者を選択すると2年間は免税事業者に戻ることはできませんので注意が必要です。


適用期日 この及び次のの改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用されます。

 

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