目次 II-2


2 不動産の登記に係る登録免許税の税率引下げ等

 政府のデフレ対策の一環として土地流通を促進するため、土地等を取得する際の税負担を軽減し、そして不動産登記に係る登録免許税の税率を簡素化したうえ、租税特別措置法によって水準を半分にする特例措置が導入されます。現在、不動産売買などによる土地や建物の所有権の移転登記は5%です。ただし、土地の登記については、課税標準の特例措置(平成15年3月31日まで)があり、この措置で土地の登記に係る課税標準(固定資産税評価額)を3分の1に減額して登録免許税を計算するため、実効税率は約1.7%となります。建物部分については特例がないので本則課税の5%のままです。

 今回の改正案では、この課税標準を3分の1にする特例措置が平成15年3月31日の適用期限をもって廃止されます。これで土地と建物に係る税負担の不均衡が解消されることになります。

 つぎに、不動産売買に係る所有権の移転登記の税率が土地・建物ともに、現行の5%から2%に引き下げられます。適用は平成15年4月1日からで、さらに平成18年3月31日までの3年間は租税特別措置法の特例により土地・建物ともに、税率が本則の半分の1%まで軽減されます。

 例えば、評価額が1,200万円の土地であれば、現行の登録免許税は1,200万円×3分の1×5%=20万円となります。3分の1の特例廃止と税率引下げに伴い1,200円×2%=24万円となり、さらに平成18年3月末までの特例措置により、1,200万円×1%=12万円となります。

 これとは別に登録免許税の特例では、法定相続人が遺贈により所有権移転登記を行う場合には、相続による場合と同じ税率とする措置が講じられます。


【1】3分の1課税標準の特例措置、廃止へ

 登録免許税は、その課税標準に固定資産税評価額を用いていますが、固定資産税評価額が高水準にあるのを考慮して、負担軽減措置を設け、固定資産課税台帳の登録価格の3分の1相当額に引き下げていますが、適用期限の到来とともにこの措置は廃止されます。



【2】登録免許税の税率引下げ

 不動産の価額を課税標準とする登記に係る登録免許税について、本則課税を以下のとおり改正するとともに、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間の措置として、次表のとおり税率が軽減されます。


登記の種類
本則課税 特例措置
H.15.4.1〜H.18.3.31
現 行 改正案
所有権の移転の登記 イ 売買その他の原因による移転
ロ 遺贈、贈与その他無償名義による
ハ 相続又は法人の合併による移転
ニ 共有物の分割による移転
5%
2.5%
0.6%
0.6%
2%
2%
0.4%
0.4%
1%
1%
0.2%
0.2%
所有権の保存の登記 0.6% 0.4% 0.2%
地上権、永小作権、賃貸権又は採石権の設定、転貸又は移転の登記 イ 設定又は転貸
ロ 売買その他の原因による移転
ハ 相続又は法人の合併による移転
ニ 共有に係る権利の分割による移転
2.5%
2.5%
0.3%
0.3%
1%
1%
0.2%
0.2%
0.5%
0.5%
0.1%
0.1%
信託の登記 イ 所有権の信託
ロ 所有権以外の権利の信託
0.6%
0.3%
0.4%
0.2%
0.2%
0.1%
相続財産の分離の登記 イ 所有権の分離
ロ 所有権以外の権利の分離
0.6%
0.3%
0.4%
0.2%
0.2%
0.1%
仮登記
 所有権の移転又は所有権の移転請求権の保全
0.6% 1% 0.5%
 その他(本登記の課税標準が不動産の価額であるものに限る。)
本登記の税率の2分の1(現行、不動産の個数1個につき1,000円)

適用期日  上記の改正は、平成15年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用されます。
 なお、住宅用家屋の所有権の保存登記を0.15%、移転登記を0.3%又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記を0.1%とする登録免許税の税率の軽減措置について、所要の規定の整備を行った上、適用期限が平成17年3月31日まで2年延長されます。

 

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