目次 〔連結納税制度のあらまし〕 IV-1


法人課税関係編

IV.連結納税制度のポイント

〔連結納税制度のあらまし〕

1 連結納税制度のあらまし

 企業の国際競争力を維持・強化し、持株会社を中心とした企業合併や企業分割による迅速、かつ、機動的な組織再編を促していくために連結納税制度が導入されることになりました。

 連結納税制度は、企業グループを一体とみなして法人税を課す制度で、最近の急速な国際化に対応した株式交換移転制度や企業組織再編制度の活用などによる持株会社を使ったグループ経営に対し、不可欠な税制であるといえます。

 ただ、この法案は平成14年6月下旬までの成立予定で、成立すれば平成14年4月1日にさかのぼって適用されるという極めて異例な税制ですが、企業は平成15年3月期決算からこの制度を利用できるようになっています。

 企業にとっては、連結納税制度は強制ではなく、単体課税制度との選択制度となっています。

 連結納税の対象は親会社と100%出資子会社に限定され、同一企業グループ内の黒字企業の利益と赤字企業の損失が通算できるというメリットは非常に魅力的な反面、連結納税に伴う税収減を補うための方策も色々と用意されており、単純に連結納税制度を導入すれば税負担が軽くなるというわけではありませんので、注意が必要です。

 例えば、連結納税制度を選択した企業グループには連結所得にかかる法人税率に2%の付加税を2年間にわたり上乗せしたり、子会社の連結前からの繰越欠損金の控除制限などが設けられています。それで、場合によっては連結納税で税負担が増える企業グループも出てくるものと思われます。

連結グループ
連結グループ
単体課税… A 社(100)、B 社(ゼロ)、C 社(60)、D 社(ゼロ)、   合計160
連結納税… A 社(100)−B 社(30)+C 社(60)−D 社(10)=120 合計120
(差引)40
連結納税の場合、所得40に対応する税負担が軽減されます。

 また、連結納税制度の導入に伴う法人税の課税ベースの拡大措置により、例えば退職給与引当金の廃止などが実施されることから、連結納税を利用しない中小企業にとっては、かえって、税負担が重くなるケースが出ることにもなりかねません。

 

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