目次 II-1


II.住宅税制はこう変わる


1 新住宅ローン減税制度の創設

―最長10年間、最大500万円控除―

 住宅ローン減税は、住宅の新築・購入をした者や増改築をした者などに対し、毎年の年末時点のローン残高の一定割合を所得税額から控除するしくみですが、現行制度(控除期間15年、最大で587.5万円のローン控除)が本年6月末日入居分までで期限が切れるため、新制度に衣替えした上で2003年12月末日まで適用されます。

 新制度は、ローン残高の上限(5,000万円)は同じですが、控除期間を15年間から10年間に短縮し、さらには3段階だった控除率(1〜6年目1%、7〜11年目0.75%、12〜15年目0.5%)は全期間一律とし、すべて年末ローン残高の1%とされます(10年間で最大500万円控除)。


現 行 改正案
入居期間 平成13年6月末日まで居住分 平成13年7月1日以降居住分 平成13年7月1日から平成15年12月31日までの居住分
制  度 住宅ローン控除制度 住宅取得促進税制 新住宅ローン減税制度
控除対象
上  限
5,000万円 3,000万円 5,000万円
控除期間 15年間 6年間 10年間
控除率 5,000万円以下の部分
1〜6年目 1%
7〜11年目  0.75%
12〜15年目 0.5%
2,000万円以下の部分
全期間   1%
2,000万円超3,000万円以下の部分
全期間  0.5%
5,000万円以下の部分
全期間   1%
※改正案の平成16年中居住文は現行の平成13年7月1日以降居住分と同じ


■住宅ローン減税 新旧比較
  借入額 現 行 改正案
年収700万円
(当初)
3,000万円
5,000万円
305.2万円
418.4万円
268.9万円
351.8万円
年収1,000万円
(当初)
3,000万円
5,000万円
306.6万円
511.0万円
270.3万円
450.5万円


住宅ローン減税の変遷

 上表では、夫婦と子供2人で年収700万円の給与所得者が、年利3%で3,000万円のローンを35年間(元利均等返済)借りた場合、初年度は3,000万円の1%の30万円が減税されます。ただ所得税額は28万円程度なので所得税はゼロ、その後のローン残高減少と年収増加(年2%ずつ上昇と仮定)による所得税上昇分を考慮すると減税額は268.9万円となり現行(305.2万円)より約11%減少します。同様に5,000万円のローンを組んだ場合は、減税額合計で67万円減少します。

 しかし、現実には、5,000万円以上のローンを10年以上抱えるのはまれで、新方式では7〜10年目の控除率が現行(0.75%)より高くなるため、借入期間が10年以上15年以下と短めのローンを組めば今より減税額が大きくなるケースもでてきます。


対象となる借入金
住宅ローン控除の対象となる借入金は、住宅の取得又は増改築、及び住宅とともに取得をする土地等でその住宅の敷地の用に供されるものの取得のための借入金等で、償還(又は賦払)の期間が10年以上のものに限られます。
 ただし、次のものは対象とはなりません。
 勤務先などからの融資や代金債務で利息が年1%未満のもの
 勤務先から利子補給金の支払いを受けているため、自らが、実質的に負担する借入金や代金債務の利息が年1%未満となるもの

控除対象となる家屋等
(1)新築家屋
イ. 自己の居住用であること
ロ. 自己の居住用部分の床面積が総床面積の2分の1以上であること
ハ. 家屋の総床面積が50平方メートル以上であること(上限はなし)
(2)中古家屋
イ. (1)のイ〜ハのすべてを満たすこと
ロ. 建築後使用されたものであること
ハ. 耐火建築物の場合は取得の日前25年以内に建築されたものであること
耐火建築物以外の場合は取得の日前20年以内に建築されたものであること
(3)増改築等
イ. 建築基準法上の大規模の修繕又は大規模の模様替えであること
ロ. 増改築後の家屋の床面積が50平方メートル以上であること
ハ. 工事費用が100万円を超えること
ニ. 増改築後の家屋の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
ホ. 工事費用の額の2分の1以上が自己の居住用部分に係るものであること

 

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