この特例を適用した場合は、1,500万円までの住宅取得資金の贈与について5分5乗方式により贈与税を計算します。つまり、その贈与金額が5年に分割して贈与されたものとして税額を計算します。これにより累進課税が緩和されるとともに、5年分の基礎控除額550万円(110万円×5年分)〔現行300万円〕に相当する金額までは贈与税がかからなくなります。
(1)その年中の贈与が1,500万円までの住宅取得資金のみの場合
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贈与税額 |
= |
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贈与を受けた住
宅取得資金の額 |
× |
1
5 |
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−110万円 |
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× |
贈与税の税率
(表Aの贈与税の速算表参照) |
×5 |
(2) その年中の住宅取得資金の贈与が1,500万円を超える場合又は住宅取得資金のほかに贈与がある場合
(A) |
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住宅取得資金のうち
1,500万円までの部分の金額(a) |
× |
1
5 |
+ |
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その年中に贈与を受けた
財産の価額の合計額(注) |
−(a) |
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(注) |
贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合は配偶者控除額を控除した残額によります。 |
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(B) |
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参 考 |
住宅取得資金だけ贈与された場合には次の速算式で贈与税額が計算できます。 |
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(税額速算式) |
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(1) 1,500万円以下の場合
[(贈与金額×1/5−110万円)× |
贈与税の税率−控除額 |
]×5=税額 |
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表Aの速算表 |
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(2) 1,500万円を超える場合
[(贈与金額−1,310万円)× |
贈与税の税率−控除額 |
+84万円=税額 |
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表Aの速算表 |
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◎ |
その年中に住宅取得資金だけの贈与を受けた場合の特例適用後の税額と通常の税額の比較 |
贈与の金額 |
特例適用後の税額 |
通常の税額
(改正案) |
(A)現 行 |
(B)改正案 |
(A)−(B) |
550万円 |
25万円 |
0円 |
25万円 |
84.5万円 |
700万円 |
40万円 |
15万円 |
25万円 |
136.5万円 |
1,000万円 |
70万円 |
45万円 |
25万円 |
260.5万円 |
1,500万円 |
152.5万円 |
105万円 |
47.5万円 |
505万円 |
1,800万円 |
241万円 |
185.5万円 |
55.5万円 |
664.5万円 |
2,000万円 |
318万円 |
260万円 |
58万円 |
774.5万円 |
※ |
配偶者の特例は適用しないものとして計算しています。 |
設例
住宅取得資金として2,000万円、それ以外として300万円相当の株式の贈与を平成13年中に受けました。 |
〔特例の適用がある場合の贈与税額の計算〕
(A)= |
[{1,500万円(a)×1/5+(2,000万円+300万円)−1,500万円(a))}−110万円]×
45%−140万円=305.5万円
表Aの速算表より |
(B)= |
{1,500万円×1/5−110万円}× |
15%−7.5万円 |
=21万円 |
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表Aの速算表より |
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贈与税額=(305.5万円(A)−21万円(B))+21万円(B)×5=389.5万円 |
アドバイス
この特例を適用しますと、父母又は祖父母が自分の子供や孫が住宅の新築や取得をする場合に、その資金を贈与した場合には、1,500万円までの贈与についてなら大幅に贈与税を軽減することができます。
この特例は親から子供だけでなく孫にも贈与できることがポイントです。例えば長男一家(妻と子供2人)が住宅を建てる計画があるとします。この場合、長男とその子供(孫)の計3人が、それぞれ特例を受けることができます。すると1人1,500万円ずつ3人で合計4,500万円の贈与をしても、贈与税は1人105万円となりますので、合計で315万円で済みます。
あるいは、夫婦2人だけなら、それぞれ実家の親から550万円ずつ贈与してもらえば、合計で1,100万円の贈与を受けても贈与税はゼロで済みます。なお、この際、住宅が完成したら、それぞれの持分(負担割合)に応じて共有登記をしておくことを忘れないようにしてください。 |
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