目次 はじめに


は じ め に

 我が国経済は、一部では企業収益の改善、設備投資の増加など景気回復に向けた動きが見えはじめてはいるものの、個人消費は足踏み状態であり、雇用情勢や中小企業をめぐる状況も依然として厳しく予断を許さない段階であります。また、財政の現状をみても、長期債務残高が、国と地方を合わせて642兆円にも達するなどの問題が現実として横たわっています。

 このような状況の下、平成13年度の税制改正は、財政健全化の必要性も念頭におきながら、当面重点を置くべき景気回復に資することを主眼として行われます。

 まず、マイホーム取得のための親から子への支援を容易にする等の観点で住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税枠が550万円に拡充される他、一定の増改築等や買換え・建替えの場合にもこの特例が適用できるようになります。

 また、住宅・土地税制関係では、本年6月30日入居分までで期限が切れる大型住宅ローン控除制度に代わる平成15年12月末日までの制度として、最長10年・最大500万円の新住宅ローン減税制度が創設されます。

 この他にも相続・贈与税関係として、贈与税の基礎控除が60万円から110万円に引き上げられたり、事業承継税制の一環としての小規模宅地特例の減額対象面積の拡大などが行われたりします。

 その他、所得税関係では、株式譲渡益の源泉分離選択課税制度の2年延長やNPO法人への寄附金控除制度の創設、法人税関係では、国際化に対応した企業組織再編税制の整備やいわゆる100万円未満のパソコン減税の期限切れ廃止に伴うパソコンの耐用年数の短縮、各種投資減税・土地重課不適用措置・買換え特例の延長などの改正が盛り込まれております。

 このように今年の税制は、非常に多岐にわたり、かつ、きめ細かい改正が目白押しとなっており、関係者にとっては目が離せないものばかりです。そこで、これらの重要事項を図解や計算例を適宜織り込みながら、改正の要点と実務上の留意事項について分かりやすく解説致しました。

 経営者や資産家あるいは税実務に携わっている方々にとってお役に立てれば幸いです。

 

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