目次 V-2


2 特定中小会社の株式の譲渡益に対する課税特例の創設

−エンジェル税制の拡充、譲渡所得は4分の1に軽減!−


上場等の日において
3年超所有、上場等
の日以後1年以内に
譲渡した特定株式

 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の特例(いわゆるエンジェル税制)の対象となる特定中小会社の特定株式を平成12年4月1日から平成17年3月31日までの間に払込みにより取得した一定の個人が、その特定中小会社の株式の上場等の日において引続き3年を超えて所有していたその特定株式を、その上場等の日以後1年以内に譲渡(証券業者への売委託に基づくものに限ります。)をした場合には、一定の要件の下で、その譲渡による株式等に係る譲渡所得等の金額をその2分の1に相当する金額とする特例が設けられます。

 この創設される特例と現行のいわゆる創業者利益の特例(上場等の日において3年を超えて所有していた株式を上場等の日以後1年以内に譲渡した場合に、その譲渡による株式等に係る譲渡所得等の金額をその2分の1に相当する金額として課税する特例)の重複適用が認められ、その結果、譲渡所得等は2分の1の2分の1、つまり4分の1に相当する金額となります。

 個人の株式等の譲渡所得については、原則として申告分離課税として確定申告により所得税20%、住民税6%の税金を納めることになりますが、平成13年3月31日まで上場株式等の譲渡については源泉分離課税を選択でき、株式譲渡金額の1.05%の税額のみで課税を終了させることができ、また、一定の要件を満たせば、確定申告不要制度も選択することもできます。

 しかし、上場等の日以後1年内に譲渡した場合は、源泉分離課税を選択できず、申告分離課税のみになることから、個人投資家(エンジェル)の中小・ベンチャー支援のため上場後の株式譲渡益について特例を強化することになったわけです。


 上場等の日以前に取得した株式を、上場等の日以後1年以内に証券会社に売委託等した場合は、原則として申告分離課税しかできません。しかし、上場等の日において3年超所有しているものについては、譲渡所得等を1/2にするという創業者利益の特例に加え、特定株式については改正で更にその1/2特例が加えられた結果、実質的に譲渡益の1/4のみに課税されることになります。

 対象者……特定中小会社に投資した個人投資家(企業のオーナー及びその親族等は除きます。)
 要 件……特定株式を払込みにより取得したもの(平成12年4月1日〜平成17年3月31日までの間で相続や贈与等による取得は対象外)

注意点  この特例の対象となる特定株式とエンジェル税制の対象となる特定株式に係る要件や手続き等を同一とすることにより、上場等の日前に譲渡損失等が生じた場合にはエンジェル税制の適用が、上場等の日以後において譲渡した場合にはこの特例の適用が受けられることになります。

 

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