目次 はじめに


は じ め に

 昨年度の税制改正は、景気の回復に最大限の配慮をし、かつ、経済のグローバル化等にも目を向けたものでしたが、今年度の税制改正は、将来のありうべき自己責任型の社会保障制度を見据えた確定拠出型年金の導入に伴う改正、わが国の経済活力の原点である中小企業の経営の活性化や事業承継を容易にする改正、固定資産税の負担水準の均衡化を図る改正等が中心となっています。

 具体的にみますと、雇用の流動化や従来型年金の問題点への対応策として、確定拠出型年金制度の導入が図られ、その拠出金の企業負担分は損金算入し、個人負担分は所得控除とするなどの税制上の優遇措置が講じられます。また、中小企業やベンチャー企業支援のための、エンジェル税制の拡充や同族会社の留保金課税の不適用措置の創設を行うとともに、事業承継の円滑化を図る上から取引相場のない株式の評価方法の改正が行われます。

 一方、土地住宅税制という観点からみますと、固定資産税について、最近の地価下落傾向に伴う宅地等の税負担を抑制しつつ、負担水準の均衡化を促進する改正が行われます。また、昨年度に導入された最長控除期間15年間・最大控除額587万5千円の新住宅ローン控除制度が景気への配慮からさらに半年間延長され、平成13年6月30日居住分まで認められることになります。

 その他、企業経営の環境の変化に伴う企業会計の見直し等に対応するために金融商品に対する時価法の導入が行われるほか、個人事業者に認められている青色申告特別控除制度の拡充が行われ、正規の簿記の原則により記帳している者については控除額が最高55万円に引き上げられます。

 このように、今年度の税制改正は、例年に比較して広範囲で多様な改正が行われます。そこでここでは、これらの改正の重要事項等のポイントを図表などを交えてわかりやすく解説しました。

 

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