目次 V-1


V.法人税制はこう変わる


1 法人税率等の引下げ

−法人課税の実効税率40.87%へ引下げ−

 急速に進展する企業活動の国際化等に対応するためと、長期化する不況からの脱出を図るために日本企業の国際競争力を維持・強化する必要性があることから、国、地方を合わせた法人課税の実効税率が46.36%から40.87%へ引き下げられ、国際水準並みとなります。

 つまり、法人税の基本税率が4.5%引き下げられ30.0%になり、法人税の中小企業向け軽減税率も3%引き下げられ22%となります。また、地方税の法人事業税も課税所得800万円超の部分が1.4%引き下げられて9.6%になり、課税所得のうち400万円超800万円以下の部分は1.1%引き下げられ7.3%となります。

 ただし、新税率の適用は平成11年4月以降開始する事業年度からで、企業の税負担が減るのは実際には2000年の3月以降ということになります。


法人税率(国税)

法人の区分及び所得金額の区分 税  率
現 行 改正案



資本金又は出資金1億円超の法人及び相互会社 34.5% 30%
その他
の法人
年800万円以下の所得金額からなる部分の金額 25% 22%
年800万円超の所得金額からなる部分の金額 34.5% 30%
協同組合等 25% 22%
公益法人等(収益事業から生じた所得) 25% 22%
特定の医療法人 25% 22%
特定の協同組合等 30% 26%

注意点 上記の法人税率の改正に伴い、法人の清算所得に対する法人税率についても所要の改正が行われます。

〜適用時期〜
 改正後の税率は、法人の平成11年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。


法人事業税率(地方税)

 法人事業税の税率は、収入金額を課税標準とする法人とその他の事業を行う法人(普通法人と特別法人)とに区分されます。(なお、制限税率は標準税率に1.1を乗じて得た率と定められています。)

法人の区分及び所得金額の区分 標準税率
現 行 改正案



年400万円以下の所得 5.6% 5%
年400万円超800万円以下の所得 8.4% 7.3%
年800万円超の所得及び清算所得 11% 9.6%



年400万円以下の所得 5.6% 5%
年400万円超の所得及び清算所得 7.5% 6.6%
特定の協同組合等の年10億円超の部分の所得 9% 7.9%
特別法人…… 農業協同組合、中小企業協同組合などの各種の協同組合、信用金庫、森林組合、医療法人など

〜適用時期〜
 改正後の税率は、法人の平成11年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。


普通法人の新税率表(平成11年4月1日以後に開始する事業年度から適用)


1 法人税の税率
  資本金1億円以下の法人 資本金1億円超の法人
年800万円以下の所得金額 22% 30%
年800万円超の所得金額 30%


2 表面税率と実効税率(資本金1億円以下・事業所は1つ)

税区分等
所得区分
法人税 法人事業税 法人住民税 合計
表面税率 実効税率
年400万円以下 22% 5% 3.81% 30.81% 29.34%
年400万円超800万円以下 7.3% 33.11% 30.86%
年800万円超 30% 9.6% 5.19% 44.79% 40.87%

注意点  1.同族会社の留保金課税は考慮していません。
 2.使途秘匿金がある場合の法人税の追加課税は考慮していません。
 3. 実効税率= 表面税率

1+法人事業税率

 

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