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3 住宅取得資金の贈与の特例制度の拡大 |
子供が住宅の購入を予定しているときに効果的な対策は「住宅取得資金の贈与の特例」を活用した現金の贈与です。この特例は、昭和59年1月1日から平成11年12月31日(改正案では平成12年12月31日)までの間に、自己が居住するための住宅(その住宅の敷地を含みます。)の取得の対価に充てるための金銭を父母又は祖父母から贈与された場合において、その金銭(住宅取得資金)の全額をその対価に充てて一定の住宅を取得したときに、贈与税の負担を軽減するというものです。 この特例の適用を受けると、贈与された住宅取得資金のうち、現行では1,000万円までの部分については、5分5乗方式により贈与税を計算することになり、300万円までの住宅取得資金については、実質的に無税となり1,000万円の贈与でも70万円の贈与税で済むことになります。改正案では、この上限1,000万円が1,500万円に引き上げられ、また、適用対象となる新築住宅又は中古住宅の床面積要件の上限(現行240平方メートル)が撤廃され、さらに中古住宅の築後経過年数要件について、耐火建築物にあっては25年以内(現行20年以内)に、耐火建築物以外の建築物にあっては20年以内(現行15年以内)にそれぞれ緩和されます。 〜適用時期〜 これらの改正は、平成11年1月1日以後に贈与により取得した住宅取得資金に係る贈与税について適用されます。
★特例を適用した場合の贈与税の計算 この特例を適用した場合は、1,500万円(現行1,000万円)までの住宅取得資金の贈与について5分5乗方式により贈与税を計算します、つまり その贈与金額が5年に分けて贈与されたものとして税額を計算します。これにより累進課税が緩和されるとともに、5年分の基礎控除額300万円(60万円×5年分)に相当する金額までは贈与税がかかりません。 |
(1) | その年中の贈与が1,500万円までの住宅取得資金のみの場合
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(2) | その年中の住宅取得資金の贈与が1,500万円を超える場合又は住宅取得資金のほかに贈与がある場合 贈与税額=((イ)−(ロ))+(ロ)×5 |
(イ) |
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(ロ) |
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その年中に住宅取得資金だけの贈与を受けた場合の特例適用後の税額と通常の税額との比較 |
贈与の金額 | 特例適用後の税額 | 通常の税額 | ||
(A)現 行 | (B)改正案 | (A)−(B) | ||
300万円 | 0万円 | 0万円 | 0万円 | 30.5万円 |
600万円 | 30万円 | 30万円 | 0万円 | 119万円 |
800万円 | 50万円 | 50万円 | 0万円 | 196万円 |
1,000万円 | 70万円 | 70万円 | 0万円 | 283万円 |
1,500万円 | 212万円 | 152.5万円 | 59.5万円 | 530万円 |
2,000万円 | 436万円 | 318万円 | 118万円 | 802万円 |
3,000万円 | 968万円 | 814万円 | 154万円 | 1,374万円 |
(A)基礎控除後の課税価格 | (B)税率 | (C)控除額 | |
超 | 以 下 | ||
1,500千円以下 | 10% | 0千円 | |
1,500千円 2,000千円 2,500千円 3,500千円 4,500千円 6,000千円 8,000千円 10,000千円 15,000千円 25,000千円 40,000千円 |
2,000千円 2,500千円 3,500千円 4,500千円 6,000千円 8,000千円 10,000千円 15,000千円 25,000千円 40,000千円 100,000千円 |
15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50% 55% 60% 65% |
75千円 175千円 300千円 475千円 700千円 1,000千円 1,400千円 1,900千円 2,650千円 3,900千円 5,900千円 |
100,000千円超 | 70% | 10,900千円 |
住宅取得資金の贈与の特例の適用要件フローチャート 次のすべての要件にあてはまる場合、この特例が適用されます。 (ただし、過去にこの特例の適用を受けた者は除きます。) 一口アドバイス この特例は親から子だけでなく孫にも贈与できることがポイントです。たとえば長男一家(妻と子供3人)が住宅を建てる計画があるとします。この場合、長男とその子供(孫)の計4人がそれぞれ特例を受けることができます。すると1人1,000万円ずつ4人合計4,000万円贈与しても、贈与税は1人70万円、合計280万円ということになります。 |