目次 はじめに


は じ め に

 長期化する不況からの脱出をはかるためと、急速に進展する企業活動の国際化に対応するために、平成11年度の税制改正は「景気の回復」に最大限の配慮をしつつ、国際化にも目を向けたものとなっています。その観点から、所得税及び法人税の恒久的な減税の実施と住宅建設及び民間設備投資の促進、経済・金融情勢の変化などに対応した改正が行われることとなっています。

 具体的には、個人の勤労意欲を引き出し消費マインドを向上させる目的で、所得税・個人住民税とを合わせた最高税率が65%から国際水準並みの50%に引き下げられるとともに、所得税・個人住民税の定率減税が行われます。

 また、わが国企業の国際競争力を維持・強化する観点から、法人税率・法人事業税率の引下げを行い、法人課税の実効税率を40.87%へと引き下げる他、投資意欲向上のために中小企業投資促進税制の拡充等が行われます。

 そして、今回特に注目される改正は、最長控除期間15年・最大控除額587万5千円の新住宅ローン控除制度の創設です。住宅建設は景気刺激効果が高いだけに、その効果が大いに期待されています。

 さらに土地取引の活性化のために、長期譲渡所得の税率を一律26%(うち住民税6%)に引き下げるなど、さらなる景気の刺激効果を狙っています。

 その他、円の国際化による日本経済のメリットを考えた有価証券取引税・取引所税の廃止などの重要な改正が多く行われる予定で、どの改正事項をみても、その動向から目を離せないものばかりです。

 そこでここでは平成11年度税制改正の重要事項について、図解や計算例をまじえながら、そのポイントをわかりやすく解説しました。

 

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