目次 V-1


V.その他の税制はここが変わる!


1 個人住民税における寄附金税制の見直し
―ふるさと納税の創設

[1]控除対象寄附金の拡大等

 個人が寄付を行いやすくするために寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げるとともに、適用下限額が10万円から5千円に引き下げられます。

(1) 寄附金控除の適用対象に、所得税の寄附金控除の適用対象となる寄附金(国に対する寄附金及び政党等に対する政治活動に関する寄附金を除きます。)のうち地域における住民の福祉の増進に寄与するものとして都道府県又は市区町村が条例により指定したものが追加されます。
(2) 現行の所得控除方式を税額控除方式に改め、適用対象寄附金に係る控除率は道府県民税について4%、市町村民税について6%とされます。この場合において、都道府県が条例により指定した寄附金については道府県民税から、市区町村が条例により指定した寄附金については市町村民税からそれぞれ控除されます。
(3) 寄附金控除の控除対象限度額が総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げられます。
(4) 寄附金控除の適用下限額が5千円(現行10万円)に引き下げられます。


◆住民税の寄附金控除額◆

現 行   改正案
次のいずれか低い方の額
・特定寄附金の額
・総所得金額等の25%
−10万円
(所得控除方式)

次のいずれか低い方の額
・特定寄附金の額
・総所得金額等の30%
−5,000円
(税額控除方式―道府県民税4%、市町村民税6%)

【参考】 所得税の寄附金控除額は、平成19年度改正で次のようになっています。

次のいずれか低い方の額
・特定寄附金の額
・総所得金額等の40%
−5,000円

適用期日 この改正は、平成21年度分以後の個人住民税について適用されます。


[2]「ふるさと納税」の創設

 地域に密着した民間公益活動やわが国の寄附文化を一層促進する観点から、地方公共団体が条例により指定した寄附金を寄附金控除の対象とする制度を創設するとともに、「ふるさと」に対し貢献又は応援をしたいという納税者の思いを実現する観点から、個人住民税の地方公共団体に対する寄附金税制を大幅に拡充し、所得税と合わせて一定限度まで全額を控除する仕組みが導入されます。

 都道府県又は市区町村に対する寄附金については、上記[1]の税額控除の適用に加え、当該寄附金が5千円を超える場合、その超える金額に、90%から寄附を行った者に適用される所得税の限界税率を控除した率を乗じて得た金額(個人住民税所得割の額の10分の1に相当する金額を限度とします。)の5分の2を道府県民税から、5分の3を市町村民税からそれぞれ税額控除されます。

 また、申告手続については、納税者の利便を図るため、簡易な方法により行うことができるよう所要の措置が講じられます。

適用期日 この改正は、平成21年度分以後の個人住民税について適用されます。


◆「ふるさと納税」(個人住民税)◆

改正案の概要 現 行   改正案
寄附金控除の対
象となる地方公
共団体の範囲
都道府県又は市町村 都道府県又は市町村
控除方式
所得控除方式 税額控除方式
控除率
適用対象寄附金×税率
(10%)の軽減効果
地方公共団体に対する寄附金のうち適用下限額を超える部分について、一定の限度まで所得税と合わせて全額控除

〔税額控除の計算方式〕

(1)と(2)の合計額を税額控除

(1) 地方公共団体
に対する寄附金
−5千円 ×10%

(2) 地方公共団体
に対する寄附金
−5千円 ×〔90%−0〜40%〕
寄附金に適用される
所得税の限界税率



(2)の額については、個人住民所得割の1割を限度
控除対象限度額
総所得金額等の25%
地方公共団体に対する寄附
金以外の寄附金との合計額
総所得金額等の30%
(地方公共団体に対する寄附金
以外の寄附金との合計額)
適用下限額
10万円 5千円
(経済産業省「平成20年度税制改正について」より)

 

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