目次 I-6-4


4 外国子会社合算税制判定要件の見直し及び適用除外の書類保存

 わが国の企業が税負担の著しく低い国・地域に海外子会社を設立し、その海外子会社との取引を通じて利益を移転したり、その海外子会社に資産運用をさせてその会社に利益を留保すれば、わが国での法人税課税を免れることができます。

 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)は、このような海外子会社を利用した租税回避行為に対処するため、海外子会社の留保所得を、その持分に応じて、親会社の所得に合算して課税する(課税繰延べを防止するもの)制度です。

 しかし、実体のある事業を行っている等、一定の条件を満たす場合は、合算課税の対象とならないこととされています。


【外国子会社合算税制の仕組み】

外国子会社合算税制
日本企業が軽課税国・地域に設立した子会社に留保された所得(下図では20)を日本親会社の所得に合算して課税する。

軽課税国・地域の子会社を利用しない場合
日本企業がA国企業に融資を行い、日本企業が貸付金利子20を計上
  軽課税国・地域の子会社を利用した場合
日本企業が金銭を出資して軽課税国・地域に子会社を設立し、その子会社がその出資を受けた金銭をもってA国企業に融資を行い、子会社が貸付金利子20を計上
 
(財務省HP より)    


 今年の税制改正では、この外国子会社合算税制について、次のように判定要素の見直しが行われます。

判定対象 外国関係会社及び外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等の判定要素 判定基準
外国関係会社 次のいずれか多い割合
[1] 株式の数の割合
[2] 議決権の数の割合
[3]  請求権に基づき分配される剰余金の配当等の金額の割合

50%超でその外国法人は外国関係会社に該当
外国子会社合算税制の適用除外を受ける内国法人・居住者 5%以上で内国法人等は適用対象に該当

 なお、会社合算税制の適用除外を受けるために必要な書類等の保存がない限り、適用除外が認められないことが明確になります。

 

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