目次 I-2-3


3 特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金算入制限措置の見直し

[1] 適用除外基準の引上げ

 平成18年度の税制改正で、特殊支配同族会社の業務主宰役員及びその同族関係者等が、発行済株式の総数等の90%以上の数の株式等を所有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合には、その業務主宰役員に対して支給する役員給与のうち給与所得控除に相当する部分として計算される金額は、損金不算入とされました。

 ただし、その特殊支配同族会社の直前3年以内に開始する事業年度における所得等の金額(所得金額と損金の額に算入された業務主宰役員の給与の額の合計額)の平均額(基準所得金額)が年800万円以下である場合、又は、基準所得金額が年800万円超年3,000万円以下であり、かつ、基準所得金額に占める業務主宰役員の給与の額の割合が50%以下である場合は、その事業年度については適用除外となります。

 平成19年度改正では、この特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置が見直され、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、現行年800万円の適用除外基準である基準所得金額が1,600万円に引き上げられます。


[2] 明らかにされた取扱い

 (1) 業務主宰役員の意義

 税務上の役員のうち、会社の経営に最も中心的に関わっている役員一人をいいます。通常は、代表取締役や社長がこれに該当しますが、必ずしも肩書きにより判定するのではなく実質的な関わりにより判定します。例えば、事業計画の策定、多額の融資契約の実行、人事権の行使等に際しての意思決定の状況や役員給与の多寡などが判断の要素とされます。


 (2) 常務に従事する役員の意義

 会社の経営に関する業務を、役員として実質的に、日常継続的に遂行している役員をいいます。

代表取締役 常務に従事する役員
副社長、専務又は常務など
会計参与、監査役 通常は、常務に従事する役員に該当しない
使用人兼務役員 役員分給与>使用人給与 常務に従事する役員
役員分給与≦使用人給与 常務に従事する役員に該当しない
上記以外の役員 業務の内容や従事の実態などを踏まえ、その実質に応じて個々に判断


 (3)  議決権等の数により判定する場合の「同一の内容の議決権を行使することに同意している者」とは

 契約、合意等により同一の内容の議決権を行使することに同意している事実があるかどうかにより判定されますが、単に過去の株主総会等において同一内容の議決権行使を行ってきた事実があることや、その個人又は法人と、出資、人事・雇用関係、資金、技術、取引等において緊密な関係があることのみをもっては、同一の内容の議決権を行使することに同意している者とはなりません。

 

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