目次 II-1-1


II.法人関連税制はここが変わる

 
 一 中小企業・ベンチャー支援関係


1 同族会社の留保金課税制度の抜本的見直し

 同族会社の場合、利益が出ても、オーナー自身が株主として受け取る配当金に対する所得税の課税を免れるためにあえて配当をせず社内留保するなど、税負担の軽減を図ることが比較的容易です。そこで、同族会社が所得のうち一定の金額を社内に留保したときは、通常の法人税とは別にその留保金に対して特別に課税することとされています。

留保金課税額={所得−(配当等+法人税等)−留保控除額}× 特別税率

特別税率  年3,000円以下の部分 ・・・10%
     年1億円以下の部分 ・・・15%
     年1億円超の部分 ・・・20%


 しかし、中小企業については、資金調達能力が不足しており、内部留保を充実させていく必要から、平成12年度の税制改正で、一定の中小企業やベンチャー企業で青色申告法人については、同族会社の留保金課税を適用しない特例が設けられました。以後数度の改正を経て、平成18年度の税制改正では、対象となる法人を従前は「同族関係者3グループで株式等50%超保有の法人」としていたのを、「同族関係者1グループで株式等50%超保有の法人」のみに限定した上で、さらに内部留保に対する控除額を大幅に引き上げることにより、平均的な配当を行えば課税されなくなるという抜本改正が行われます。これにより中小企業にとって不可欠な内部留保の充実が図られることになります。




  現 行 改正案
同族要求 3株主グループによる持株保有割合50%超 1株主グループによる持株保有割合50%超
留保控除額
◆次のうち最
  も多い金額
(1)所得基準額 所得等の金額×35% 所得等の金額×40%(中小法人は50%)
(2)定額基準額 年1,500万円 年2,000万円
(3)積立金控除額 期末資本金×25%−利益積立金 期末資本金×25%−利益積立金
(4)自己資本比率
   基額
  (中小法人のみ)
自己資本比率(注)が30%に達するまでの金額
(注)

自己資本(同族会社からの
借入金を含む)
総資産






不適用措置   設立後10年以内の中小企業者
廃 止
中小企業新事業活動促進法の経営革新計画の承認を受けた中小企業者で経営革新のための事業を実施しているもの 2年延長
(平成20年3月31日までに開始する事業年度)
自己資本比率が50%以下の中小法人
廃 止

 

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