Q4 |
税務調査の証拠資料の提示 |
Q4 | 証拠力の高低……証拠力が高い資料とは |
現在、税務調査を受けていますが、調査現場では証拠資料をめぐり、調査官が経理部作成の支払伝票だけでは損金算入の証拠にならないと発言しています。経理部長印のついた伝票でも税務署は信用しないのでしょうか。 Point [1] 証拠資料は量ではなくその質が大事… [2] 証拠力が高い資料、低い資料とは… [3] 証拠力が低い資料では思わぬ税負担が… [4] 証拠資料の牽制機能とは何か… 当面の対応 1 証拠の量と質 以下に、経理に関する証拠資料、すなわち契約書、請求書、領収証等を、証拠力の高い順に示してみましょう。 |
(1) | 証拠力が高い資料 | ||
国、地方公共団体等が発行したもの | |||
銀行、電力、ガス等公共性の高い大規模法人が発行したもの |
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(2) | 証拠力が比較的高い資料 | ||
上場済みであり、かつパブリックな法人が発行したもの |
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(3) | 証拠力が低い資料 | ||
親・子法人、同族関係者である個人、法人、支配関係にある代理店、下請法人等が発行したもの |
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(4) | 証拠力がかなり低い資料 | ||
同一社内の他部門が作成したもの |
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(5) | 証拠力がない資料 | ||
同一部内等、たとえば経理部、役員等が作成したもの |
2 証拠不足に 上記のとおり、税務調査において提示すべき証拠資料は、証拠力が高いものであることを要し、低いものでは証拠として取り上げられず、最終的には証拠不足により思わぬ大きな税負担をすることがあるので注意を要します。 3 コンピュータによる資料 同一社内、同一部内等で作成されるコンピュータによる資料等は、元来、同一内容の素材を、目的に応じて各表に、あるいは中間記録により分散させてつくったものですから、源泉は同じものがベースになっているはずです。それらを相互に突合しても、合致することは当然です。 今後の対応 1 質的な選別 法人は、税務調査に備えて証拠をなるべく多く準備する傾向がありますが、せっかく用意した膨大な資料のほとんどに証拠力がないこともよくあることです。すなわち、資料は量ではなく、その質を重要視する必要があるのです。 2 遠い証拠、近い証拠 上記では、証拠力を「高い」「低い」と表現しましたが、ひと口にいえば、経理部から「遠い」資料は外部証拠として証拠力が高く、「近い」資料は証拠力が低い、あるいは証拠力がないということがいえます。 3 牽制する機能 証拠資料は、会計記録を牽制し、かつそれを是正する機能を有しています。たとえば、法人の当座預金残高は、銀行から入手した預金残高証明書である証拠資料との突合に過不足があれば、その原因を探して調整し、さらに差異があれば、その差異を未決算勘定に振り替えて調査するのです。 |