目次 Q3


税務調査当日の経過と対応


Q3  調査官の印象……調査官の態度が意外にソフトなので

 いよいよ税務調査の当日を迎え、午前10時頃、調査官2人が来社しました。社長、そして管理部長等と名刺交換をしたのですが、調査官の態度はとてもソフトで、いささか拍子抜けしました。調査官というのは、誰もがこのようにソフトな感じなのでしょうか。


Point

 [1] 最近の税務調査はソフトかつクールの傾向が…
 [2] 好感はもてるが処理等のチェックはきびしく…
 [3] 質問に対して多弁は禁物、証拠資料を…
 [4] 質問に対しては冗長ではなく簡明な回答を…



当面の対応

1 調査官とは
 税務調査を行う調査官は、法人が法人税を適正に申告・納付しているかをチェックする国家公務員です。したがって、法人の申告・納税手続にミスがあればその修正を求め、脱税等の不正行為があれば重加算税等の罰金的加算税を課すほか、悪質であれば犯罪者として告発するのです。

2 紳士的な態度
 上記のように、大きな権限をもつ調査官ですが、法人との対応はきわめて紳士的であり、好感がもてるのです。これはちょうど警察官と相対したときを考えればよいのであり、警察官は凶悪犯には強く立ち向かうのですが、善良な市民に対してはむしろ護る立場にあるのです。

3 調査官の任務は
 社長以下、法人のスタッフは調査官のソフトなムードを感じて多弁となり、よい調査官が来てくれて運がよかったと内心で思うことでしょう。しかしながら、調査官はビジネスで法人を訪問しているのではなく、法人の特定年度の課税所得とその税額の納付状況をチェックするために来ていることを忘れてはなりません。


今後の対応

1 誤解を防ぐ
 警察官が逮捕する人すべてが悪人とは限らず、ときには間違って善良な市民を逮捕してしまうことがあります。これと同様に、税務調査においても、誤解などから不当な課税を受けることがあり、これを防ぐためには、取引の裏づけとなる証拠資料を税務調査に備えて十分整備しておく必要があります。

2 端的な回答
 税務調査においては、税務当局側から多くの質問が発せられますが、法人側があわてて質問とは関係ない答えをしたり、質問の周辺情報を詳細に回答してしまう場合があります。調査官はそのようなことは望んでいません。法人側は、質問されたことだけに端的に回答し、それ以外の発言は極力差し控えることが望まれます。

3 指名不可
 今回の税務調査でよい調査官が来たからといって、次回も同じ調査官が来ることは原則ありません。調査官の選定は統括官が命じるのであって、「指名」することは不可能です。

 

目次 次ページ