目次 PART7


 PART7 租税制裁法とは何か

 納税者救済〜税務争訟

 税務の問題について、課税庁と納税者の間で争いが生じたとします。この場合、問題は、ふつうの紛争のケースと同じように、最終的には司法裁判所での訴訟によって解決がはかられることになります。ただ、税務を含む行政上のケースにおいては、訴訟制度とは別途に、行政段階での救済手段として不服申立て制度が設けられています。不服申立て制度は、異議申立てと審査請求の2つからなっています(ただ、この制度は近く大きく変わります)。とくに税務のケースでは、多くの場合、この不服申立てという行政段階での救済のステップを踏むように求められます。このルールを、「不服申立前置主義」といいます。

 一般に、不服申立てと訴訟とをあわせて「争訟」とよびます。このことから、税務に関する争訟は「税務争訟」とよばれます。税務争訟の多くは、課税庁による納税者の権利侵害の救済に関するケースです。このことは、税務争訟の役割は、納税者を救済することにあるといえます。まさに、こうした機能を、学習・研究の対象とするのが「租税救済法」の分野なわけです。

 

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