目次 II-5


5 不服申立てができる期間

1 一般的な場合

 1 不服申立期間

 1)異議申立ておよび異議申立てを経ずになす審査請求の場合は、処分があったことを知った日の翌日から起算して2か月以内に、2)異議決定を経た後の処分についてする審査請求の場合は、異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内になす必要がある(通則法第77条第1項・第2項)。すなわち、この期間内になされた申立てのみが適法な申立てとして実質的判断に付され、この期間を経過した申立ては不適法な申立てとして却下される。


 2 異議申立ておよび異議申立てを経ずになす審査請求の場合

 (1)期間の起算日

 異議申立ておよび異議申立てを経ずになす審査請求は、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合は、その日)の翌日から起算して2か月以内にしなければならない(通則法第77条第1項)。

 ここにいう「処分に係る通知を受けた日」とは、通知が社会通念上了知し得る客観的状態に置かれた日をいうと解されている。たとえば、1)郵便による場合は郵便物が名宛人の住所等に配達される日(最判 昭和27.4.25民集462)、2)本人に代わって処分書を受領する権限が与えられているものが知った場合には、その知った日(最判 昭和28.12.18民集1505)、3)公示送達の場合は所定の掲示を始めた日から起算して7日を経過した日(通則法第14条第3項)がこの日に該当する。

 なお、通常の取扱い郵便または信書便による場合は、通常到達すべきであったときに送達があったものと推定される(通則法第12条第2項)。

 申立期間を徒過しないように、申立期間の起算点には注意する必要がある。


 (2)除斥期間

 異議申立ておよび異議申立てを経ずになす審査請求は、正当な理由があるときでない限り、処分のあった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない(通則法第77条第4項)。

 「処分のあった日」とは、処分に係る書類の送達があった日(公示送達した場合は、書類の送達があったものとみなされる日)をいうものとされる(異議通77−3、審査通77−3)。

 また、「正当な理由」とは、不服申立制度全体の目的および法的安定性の要請を考慮し、そのような例外を認めることが、社会通念上正当であるとするような理由をいうと解される。この点、処分当時海外に居住していたため不服申立てができなかったことは正当理由に当たるとした判例がある。


 3 異議決定を経た後の処分についてする審査請求の場合

 異議申立て(国税庁長官に対する異議申立てを除く)についての決定があった場合に、異議を申し立てた者がその決定を経た後の処分に対して、なお不服がある場合には、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる(通則法第75条第3項)。

 この異議決定を経た後の処分についてする審査請求は、異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内にしなければならない(通則法第77条第2項)。

 ここにいう「送達があった日」とは、前記の通知を受けた日と同じものと解されている。

 異議申立てをしてから3か月経過しても異議決定がない場合にする審査請求(通則法第75条第5項)については、請求期間の制限は付されていないので、異議決定があるまでいつでもすることができる。

 

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