第1章 第2節 4 |
4 土地の上に存する権利の評価上の区分(評価通達9) |
土地の上に存する権利は、次の権利ごとに評価します。 (1) 地上権 ここで地上権とは、「他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利」(民法第265条)をいい、(2)区分地上権及び(5)借地権に該当するものは除かれています。 (2) 区分地上権 区分地上権とは、民法第269条の2に規定する「地下又は空間を目的とする地上権」をいいます。同条第1項では「地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。」とされています。 (3) 永小作権 永小作権とは、民法第270条に規定されている権利で、同条で「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。」とされています。 (4) 区分地上権に準ずる地役権 地価税法施行令第2条(借地権等の範囲)第1 項に規定する地役権をいいます。 具体的には、「特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のため地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するもの」(同項)をいいます。 (5) 借地権 ここで借地権とは、借地借家法第2条第1号又は借地法第1条に規定する「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」をいい、(6)定期借地権等は除かれています。 なお、平成4年8月1日以降に設定された借地権については、借地借家法が適用され、同日より前に設定された借地権については、借地法の規定が適用されます。これらは借地権の存続期間等の定めが異なりますが、いずれも相当長期間土地を使用収益することのできる権利で、かつ更新等についても保護されていることから、ともにここでいう「借地権」として評価します。 (6) 定期借地権等 定期借地権等とは、借地借家法第22条(定期借地権)、第23条(事業用定期借地権等)、第24条(建物譲渡特約付借地権)及び第25条(一時使用目的の借地権)をいいます。 (7) 耕作権 農地又は採草放牧地の上に存する土地の耕作を目的とする賃借権をいいます。 なお、上記賃借権とは、農地法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項の規定の適用があるものに限られていますので、いわゆる「やみ小作」は評価通達の耕作権には該当しません。 (8) 温泉権(引湯権を含む) 温泉権とは、鉱泉地において温泉を排他的に利用することができる権利をいい、引湯権とは、温泉権者から温泉を引湯することができる権利をいいます。 (9) 賃借権 土地の上に存する賃借権とは、当事者の一方が相手方に賃料を支払うことにより土地の使用収益をすることができる権利をいいます。 ただし、(5)借地権、(6)定期借地権等、(7)耕作権及び(8)温泉権に該当するものは除かれます。 (10) 占用権 地価税法施行令第2条第2項に規定する権利をいいます。 具体的には、河川法の規定による河川区域内の土地の占用許可に基づく権利でゴルフ場や自動車練習所等の設置を目的とするものや、道路法又は都市公園法の占用許可に基づく権利で駐車場、建物その他の工作物の設置を目的とするものをいいます。 |