目次 第1章−第2節 2


[5]  所有する宅地に隣接する宅地を借りてこれらを一体として利用している場合、又は2以上の者から隣接する土地を借りて、これらを一体として利用している場合

 この場合には、同一の者が権利を有し、一体として利用していることから土地全体を1画地として評価します。


設例11  所有地に隣接する宅地を借りて一体利用している場合の評価単位

 甲は、次の図のように所有するA土地に隣接しているB土地を借地して、A、B土地上に建物を所有しています。この場合の宅地及び借地権の価額は、どのように評価するのでしょうか。



解 説

 甲の所有する土地及び借地権の価額は、A、B土地全体を1画地として評価した価額を基に、次の算式によって評価します。

(算式)

A土地の価額= A、B土地全体を
1画区の宅地とし
て評価した価額
× A土地の地積

A、B土地の地積の合計

B借地権の価額= A、B土地全体を
1画区の宅地とし
て評価した価額
× B土地の地積

A、B土地の地積の合計
 × 借地権割合

 なお、丙の貸宅地を評価する場合には、B土地を1画地の宅地として評価します。

 また、上図の例で、B土地における甲の権利が使用貸借権である場合には、A土地単独で1画地として評価し、B土地における甲の使用貸借権は評価しません。これは、使用貸借権は、相続の対象とならず、また交換価値もない極めて弱い権利であるため、評価上考慮する必要のない権利と考えられているためです。

[6] 不合理分割

 不合理分割とは、贈与・遺産分割等による宅地の分割が親族間で行われた場合において、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められることをいいます。不合理分割と判断される場合には、分割前の画地を1画地として評価します。

 不合理分割の例としては、次の図のような宅地のうちA部分は甲が、B部分は乙が相続するような場合があります。


 〔1〕については現実の利用状況を無視した分割であり、〔2〕は無道路地を、〔3〕は無道路地及び不整形地を、〔4〕は不整形地を、〔5〕は奥行短小な土地と無道路地を、〔6〕は接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を創出する分割であり、分割時のみならず将来においても有効な土地利用が図られず通常の用途に供することができない、著しく不合理な分割と認められるため、全体を1画地の宅地としてその価額を評価した上で、個々の宅地を評価することとするのが相当です。

 具体的な評価方法は、A、B宅地全体を1画地の宅地として評価した価額を基に、面積あん分により個々の土地を評価します。

 なお、この取扱いは同族会社間等でこのような不合理分割が行われた場合にも適用されますので、注意してください。

 

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