目次 第1章−第2節 1


設例5  固定資産税の課税地目と評価通達の現況地目

 被相続人甲は、市街化調整区域内にある雑種地A地を所有していましたが、この度、甲について相続が発生しました。この雑種地A地は隣地工場敷地であるB地を所有する乙法人に資材置き場として賃貸しています。

 固定資産税評価においては、A地は、宅地であるB地と一体として利用されていることを根拠として課税地目を宅地として評価されています。

 A地について、評価通達に基づく評価をする場合でも、現況地目を宅地として評価すべきでしょうか。



解 説

 設例のような場合、固定資産税評価においては、A地は宅地であるB地と一体として利用されていることから、課税地目を宅地としてB地と一体評価されていることがあるようです。

 しかし、被相続人甲はB地に対しては何らの権利関係も有していません。そうすると、評価通達に基づきA地を評価する場合には、B地とは別個に現況地目雑種地として評価する必要があります(設例7参照)。

 市街化調整区域内においては、一般的には雑種地には建物の建築はできません。そのため、宅地の評価額とは相当な開差が発生することがあります。

 固定資産税には、地方税法第408条に基づく「固定資産の実地調査」義務があることなどから、評価通達による評価に当たっても固定資産税の課税地目をそのまま現況地目として評価することが多いように思われますが、取扱いの相違から、固定資産税の課税地目と評価通達上の現況地目とが異なる場合もあります。

 本例の場合は、単純に固定資産税の課税地目に従って評価すると、過大な評価額が算定される可能性があります。

 相続税の評価においては、あくまで評価通達の規定に即して、慎重に現況地目を判定する必要があります。

 

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