目次 第1章−第2節 1


設例4  登記地目と現況地目

 A地及びB地は10年前に一体として購入しました。登記地目はともに宅地になっています。購入直後に、A地には自宅を建築し、以後その敷地として利用しています。また、B地は同時期にアスファルトを敷き駐車スペースごとに白線で区分し、周囲をフェンスで囲って月極の駐車場用地として利用し、毎月賃料を徴収しています。

 この度、相続が発生して、相続財産であるA地及びB地をともに長男甲が相続しましたが、相続税の評価をする場合、これらは一体として評価すべきでしょうか、又は評価上の区分が別として個々に評価すべきでしょうか。



解 説

 A地は、建物の敷地とされていることから、その現況地目は宅地です。B地の登記地目は宅地ですが、アスファルト舗装を設け容易に建物敷地にできない状態で10年前から課税時期現在に至るまで月極駐車場用地として利用されています。このことから、B地はすでに宅地とはいえない状況にあります。B地は前記の不動産登記事務取扱手続準則に準じて判定すると、雑種地に該当します。

 そうすると、評価上の区分は別になり、それぞれを別個に評価しなければならないことになります。

 例のような場合には、一見すると、別個に評価しても、一体として評価しても評価額の総額には大差ないようにも思えますが、仮に広大地評価が影響するときには、大きな開差が生じることになります。つまり、評価対象地の所在する地域の広大地に係る面積要件が1,000平方メートル以上の市街化区域であれば、A地及びB地を一体とする場合には広大地評価の要件を満たす可能性がありますが、評価上の区分が別であれば、 広大地評価に該当することはありません。

 実は、広大地評価の適用誤りの事例のうち、相当割合はこの評価上の区分の誤りに起因するものだと思われます。

 現行の広大地評価の通達が適用されるようになって以来、この評価上の区分は特に実務上重要なものとなっています。

 

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