目次 第1章 第1節 2


設例2  相続人所有地に隣接する無道路地を相続した場合

 相続人乙は、自己が所有するB宅地に自宅を所有しています。隣接するA宅地は被相続人甲の所有地ですが、乙が自宅の庭として利用しています。

 このような状況で甲に相続が発生し、乙がA宅地を相続した場合には、A宅地は評価通達20−2の無道路地に該当するのでしょうか。



解 説

 例の場合には、B宅地はもともと相続人乙の所有であり、相続財産はA宅地のみです。したがって、評価通達の考え方からすると、不合理分割に該当しない限りはA宅地とB宅地を一体として評価することはありません。A宅地は単独で不整形地(B宅地部分がかげ地となります。)として評価します。

 一方、評価通達20−2に定める無道路地の評価方法は、無道路地については建築基準法等上の接道義務を満たす通路開設費相当額の負担が見込まれることから、この通路開設費用相当額を控除することにより無道路地の評価額を算定するものです。例の場合にはB宅地はA宅地を取得する相続人乙が所有するものですから、このような経済的負担は見込まれません。したがって、評価通達20−2の無道路地の評価の適用はないものと思われます。

 以上のことから、例の場合には、B宅地が接道義務を満たす最小限度の間口距離(一般的には2m)の通路で道路と接続しているものとして間口距離を算定し、B宅地全体をかげ地として不整形地の評価(評価通達20)を行うことになります。

 

目次 次ページ