目次 I-2


2 被相続人の債務の引受手続

 被相続人の債務引受には重畳的債務引受と免責的債務引受があります。重畳的債務引受とは、従来の債務者が引き続き債務者として存続するとともに、引受人も重ねて債務を負担し、従来の債務者とともに連帯債務者となるという契約です。免責的債務引受とは、引受人が債務関係に加入することによって従来の債務者は、債務負担を免れるという契約です。

 実務的には、相続人のうち資力のある1人に債務を免責的に引き受けさせ、他の相続人には連帯保証人になってもらった方が管理しやすいという利点がある「免責的債務引受」が主として選択されるようです。この場合においても、特定の相続人が債務を引き受けることについて債務を引き受ける相続人以外の相続人に対してもその旨の意思確認のため免責的債務引受契約証書に署名押印(実印)を求められることになります。

 また、相続された債務に保証人や第三者担保提供の担保が付されていた場合、免責的債務引受により債務者が変更すると、債権の実質的な価値に変動を来たすので保証人や担保提供者の同意がなければ、その保証や担保は移転しないこととされています。したがって、事前あるいは同時にこれらの者からも同意を得ている旨の書類の提出が必要です。

 

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