目次 はじめに


はじめに

 相続が発生するとまず相続人を確認するために、被相続人の出生時から死亡するまでの戸籍謄本等を取り寄せることが必要です。相続人が相続の放棄や限定承認を行う場合には相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に対してその旨の申立て等を行わなければなりません。また、相続人の中に未成年者がいる場合に親権者との間で利益相反行為に当たるときは特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要もあります。さらに、公正証書遺言以外の遺言が発見された場合には、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して検認を受けるようにしなければなりません。

 そのほか、遺産の名義変更手続も分割協議等が調えば順次行っていく必要があります。銀行預金等の名義変更においては、遺産分割協議書等の書類の提示だけでなく、各金融機関所定の依頼書等に共同相続人等の自署及び実印の押印を求められるケースが多く大変手間がかかります。生命保険金等の請求も3年以内に保険会社に連絡しないと受け取る権利を原則として失ってしまいます。自動車の名義変更や不動産等の相続登記も必要となります。また、埋葬料や葬祭費の請求手続も忘れずに行うようにしなければなりません。最近はこれらの諸手続が煩瑣なことから遺産の名義変更等の遺産整理業務を有料で代行してくれるサービスを信託銀行などが手掛けています。

 そこで、ここでは相続発生後から申告期限までの手続と対策のうち、重要な事項と思われる点について解説することとします。

 

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