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V 金融資産の調査手法 |
平成15事務年度の相続税の税務調査事績によれば、申告漏れ財産のうち、現金・預貯金及び有価証券は57.0%となっています。このことから、相続税の税務調査は金融資産が中心であることが分かります。特に、被相続人名義の預貯金や株式ではないものの、名義預金等として課税されている場合が多いと思われます。 一方、申告漏れ財産のうち土地が19.1%とかなりのウエイトを占めていますが、土地に関しては申告漏れというより評価方法に問題があったことによる修正であると思われます。 そこで、名義預金等や郵便貯金の調査方法を具体的に解説します。 |
1 家族名義の預貯金等 |
(1) 名義預金等とは 形式的には配偶者や子・孫などの名前で預金しているが、収入等から考えれば、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる、つまり、それら親族に名義を借りているのに過ぎない預金をいいます。 名義は被相続人のものでなくても、実質的に被相続人に係る預貯金と認められるものは、被相続人の相続財産に該当します。このような名義預金のほか、株式についても同様に名義株式とされるものがあります。 (2) 名義預金等の時効について 贈与税の課税対象とされる贈与には、(1)民法上の贈与(非課税とされるものを除く。)と、(2)相続税法上の独自の観点から設けられたみなし贈与(例えば、生命保険金の贈与等)の2種類があります。 民法上の贈与については、民法第549条において「贈与は当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与うる意思を表示し相手方が受託を為すによりてその効力を生ず」と規定されています。 このことから、贈与者による贈与の意思表示と受贈者による受贈の意思表示をもって成立する契約(諾成契約)行為であることが特徴であり、贈与者による一方的な意思表示のみでは民法上の贈与は成立しないことになります。 贈与による財産の取得の時期は、贈与の場合は以下のようになります。
ただし、その贈与の時期が明確でないときは、その所有権等の移転の登記又は登録があった時とされます。 例えば、父が子名義で毎年預金をしていても、その預金の存在をその子が知らない場合には、受贈者(子)による受贈の意思表示がないことから、民法上の贈与としての諾成契約は成立していないことになり、贈与は成立していないと考えられます。 そのため、子名義の預金が行われて何年経過していても、民法上の贈与が行われていない以上、税務上の時効は成立しないことになります。 (3) 名義預金の判定基準 相続税の調査の際、特に問題となることの多い名義預金の判定の基準は以下のとおりです。以下のいずれかの基準に該当すると名義預金と判定され、その預金の名義人に関わらず実質所有者が判定される可能性があります。
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