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4 標準的な調査手法 |
標準的な税務調査の日程は、臨宅による調査が2日間(連続して行われる場合と、一定の日数をおいて行われるケースがあります。)行われ、問題点があればそれらを整理しどの項目について修正申告等の対象とするかの確認のために、後日において税務署に赴き、擦り合わせのための話し合いが半日程度行われるケースが多いと思われます。 どのような順序で調査が行われるかは様々ですが、ここでは2日間で調査が行われた場合の一般的な調査の手順についてご紹介致します。
通常は2人以上の調査官が指定の日時に来訪します。 無記名債券、多額の現金、金や貴金属が発見された場合の証拠能力を維持するために複数の調査官で調査をすすめます。
身分証明書を提示し、お悔やみをのべた上で調査に着手します。 調査官は身分証明書を提示することが義務付けられています。名刺だけでなく身分証明書を必ず確認してください。 〜ニセ税務署員に注意!〜 税務署員は任意調査を開始するに際しては身分証明書を携帯し、これを調査先の請求により提示しなければならないこととされています。 調査を受ける際には、身分証明書の提示を受けニセ税務署員でないかの確認後、調査を受けるようにしましょう。
まずは、世間話などを交えながらさりげなく相続人に質問を始めます。 税務署員は世間話の中からでも、被相続人やその家族の生活状況などを探り、調査に必要な情報収集をしています。
相続人代表の人に共同相続人の氏名や職業などを税務署の便箋に記載してもらいます。 相続人で被相続人の財産管理をしていたと思える相続人の筆跡をとっておき、被相続人の預金等の入出金伝票や重要取引の書類の筆跡突合などに役立てます。 また、相続人の職業なども確認しておくことで被相続人の交友関係と区分して判定する資料にしたりします。
税務職員は、いったん調査を中断し、近くで昼食を済ませたあと、午後から再度調査を再開します。
事前に把握している貸金庫の利用の有無を確認し、その日のうちに金融機関に赴き相続人に貸金庫を開けてもらい中を確認します。 調査当日に金融機関に赴き貸金庫の中を確認します。事前に相続人が貸金庫の中を整理する前に申告漏れ財産のチェックをします。
室内の状況をさりげなく観察し、銀行や証券会社の名前の入ったカレンダーやタオルなどがないかチェックします。また、トイレを借りるふりをして同様に室内を観察します。 カレンダーなどに表示されている金融機関等の預貯金等があるか否か相続税の申告資料との突合が行われます。
不動産の権利書・預金通帳・印鑑その他重要書類等の保管場所を確認し、それが金庫の中に保管されている場合には、その場所に調査官も同行し、相続人に金庫を開けさせて中を調べます。 金庫の中には財産に関するメモなど調査に欠かせない資料が多く残っていたりします。調査官が勝手に金庫の中をかき回したりはしませんが、相続人に任意に提示するよう粘り強く説得します。 そのため、日頃から金庫の中など重要書類の保管場所には無用な誤解を避けるために、メモや計算書類などはきちんと整理しておくことが賢い対応といえます。
印鑑は税務署の便箋にいったん空押しして印影が写るかどうか確認した後に、朱肉をつけてすべての印鑑の印影を便箋にとって帰ります。 印鑑の空押しで印影が写る場合は最近使用したと推定できます。その後、朱肉をつけてすべての印鑑の印影をとって帰り、名義預金等の判定を行う際の材料となります。 相続人等の印鑑を預かっていたりすると誤解を生じやすいので、事前の整理が大切です。 |