目次 III-1


 III 相続税の税務調査の標準的な進め方


1 税務調査の行われる時期

 税務署等の事務年度は毎年7月〜翌年6月末日となっています。実地調査率は低く調査を実施した先の不正発見割合は高いのが現状です。そのため、税務署等では収集した資料の分析等を通じて不正が行われていると思われるところを優先的に調査し、適正な申告を担保するように工夫しています。また、実地調査率を落とさないよう調査官は調査件数のノルマを課せられているといわれています。

 経験則でいえば5月から6月にかけての税務調査の場合、短時間で調査が終了することが多くあります。これは6月末が課税庁の事務年度の締切りに当たるため、問題点が少ないと思える先の税務調査であれば短時間で調査を完了させることができ、実地調査率を引き上げることができるという心理と、7月上旬の定期異動が控えているため、時間をかけて調査を行うことが困難であること等がその一因と思われます。反面、8月から11月にかけての税務調査は調査官が、心理的にも時間をかけて行うことも可能であることから、多くの不正があると思われる先を調査対象に選択していると思われます。

 以上のことから、税務調査を受ける時期からでも申告書の出来栄えを判定することができるともいえます。

 

目次 次ページ