目次 第2章−4


4.財産のたな卸をしてみよう

 Step1.財産のたな卸に必要な書類を集める

 相続税額を試算するにあたって、まずは財産のたな卸をするための資料を集めることから始めます。必要となる主な資料は以下のとおりです。

≪個人に関する資料≫
   書 類 備 考
  固定資産税課税明細書 本年度分(共有名義・先代名義のものを含む)
  物件の所在地の一覧 住宅地図などに物件の所在地を記載したもの
  物件の利用状況の一覧 現在の利用状況(貸宅地、貸家など)を記載したもの
  所得税の確定申告書 過去3年分
  預貯金・有価証券の概要 金融機関名・現在の残高
  生命保険証券 被保険者となっているもの及び保険料負担者となっているもの
  借入金の返済予定表 現在の残高が分かるもの
  過去の相続時の相続税の申告書 直近で相続税の申告をしている場合
  ご家族構成 お名前・続柄・生年月日

≪法人に関する資料≫
   書 類 備 考
  法人税の確定申告書(3期分) 申告書・決算書・内訳書のすべて
  固定資産税課税明細書 本年度分
会社及び会社が賃借している被相続人名義のものすべて
  物件の所在地の一覧 住宅地図などに物件の所在地を記載したもの
  物件の利用状況の一覧 現在の利用状況(貸宅地、貸家など)を記載したもの
  預貯金・有価証券の概要 金融機関名・現在の残高
  生命保険証券 契約内容の詳細がわかるもの
  借入金の返済予定表 現在の残高が分かるもの


 Step2.相続人の確認

 相続税の総額は誰がどの財産を相続したかに関わらず、各法定相続人が各法定相続分に従って取得したものとみなした金額の多寡により税率が決定します。

 よって、まずは相続人の確認が必要ですが、相続人の考え方は次のとおりです。

 相続人

配偶者
血族相続人
第1順位 子(子が以前死亡等の場合は代襲相続)
第2順位 直系尊属(父、母、祖父母)
第3順位 兄弟姉妹(以前死亡の代襲相続は一代限り)

 配偶者は必ず法定相続人となりますが、血族相続人は、順位が上の相続人が存在すればその者だけが法定相続人となります。なお、上の順位の相続人が「相続放棄」をした場合には、次の順位へ相続権が引き継がれます。

※代襲相続
 相続開始時において、相続人となるべき者が既に死亡等の事由により相続権を失っている場合に、その相続人となるべき者の直系卑属(子や孫)が代わりに相続人となります。
 この相続する者を代襲相続人といいます。
 また、相続人となるべき者が養子であり、この養子の子が養子縁組前の子である場合には、この子は、被相続人の直系卑属ではないため代襲相続人とはなりません。ただし、養子縁組後に出生した養子の子は、被相続人の直系卑属に該当しますので、代襲相続人となります。

 基本的な法定相続分の例示(配偶者がいる場合)

  相続人 相続分
第1順位 配偶者・子 配偶者1/2・子1/2
第2順位 配偶者・直系尊属 配偶者2/3・直系尊属1/3
第3順位 配偶者・兄弟姉妹 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4

 同順位の血族相続人が複数いる場合は、相続分は人数で頭割りとなります。

養子がいる場合、養子は実子と同様の扱いとなるため、何人いても相続権を有することに変わりはありません。しかし、相続税の計算の過程において法定相続人の数及び法定相続分を計算する際は、次のように取扱います。
(1)被相続人に実子がいる場合…………養子のうち1人まで法定相続人の数に含める。
(2)被相続人に実子がいない場合………養子のうち2人まで法定相続人の数に含める。

※半血兄弟姉妹
 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹をいいます。
 半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の1/2となります。


【判定】
1.甲の相続人
  乙・A・B・C
2. 法定相続分
乙3/4、A1/4×2/4=2/16、B1/4×1/4=1/16、C1/4×1/4=1/16
3. 判定
Aは、甲と同じ父母の子ですが、B及びCは、甲の父とだけ同じであることから法定相続分はAの1/2となります。

 

目次