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(5) 不動産の登記申請 |
[1] 共同申請主義 不動産の登記は、原則、当事者の申請か官庁若しくは公署の嘱託がなければすることができません。これを「申請主義の原則」といいます。また、不動産の権利に関する登記は、原則、登記権利者と登記義務者が共同して申請しなければなりません。これを「共同申請主義」といいます。「登記権利者」とは、権利に関する登記をすることにより、登記上、直接利益を受ける者のことをいいます。「登記義務者」とは、権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人のことをいいます。「登記名義人」とは、登記簿の権利欄に、権利者として記載されている者のことをいいます。たとえば、不動産の売買契約を締結した場合には、買い主が登記権利者、登記名義人である売り主が登記義務者となります。 [2] 単独申請 登記名義人のみの単独で申請できる権利の登記は、次のような登記です。
[3] 登記事項 不動産の権利に関する登記には、次の事項を登記します。
[4] 添付書類 不動産の権利に関する登記申請をする場合には、申請人は、原則として、登記原因を証明する書類を添付しなければなりません。これは、登記原因証明情報といわれるものです。たとえば、不動産の売買による登記申請の場合は、売買契約書が登記原因証明情報になります。実務では、売買契約書には、登記申請に必要ない売買代金等の記載もなされているため登記申請に添付することは避けられています。別途、登記申請のために権利変動の事実を記載した書類を作成し、その書類を登記原因証明情報として添付する取扱いをしています。 所有権登記名義人が登記義務者となる場合は、登記義務者の印鑑証明書(3か月以内)を登記申請に添付する必要があります。これは、不動産の所有権という大切な財産の権利を第三者に移転したり、その権利に何らかの制限をしたりする場合には、義務者の申請意思を担保する必要性が高いからです。 また登記権利者と登記義務者が共同で登記申請する場合には、原則として、登記義務者の登記識別情報又は登記権利証を添付しなければなりません。 [5] 登記識別情報 登記識別情報とは、オンライン指定庁における登記権利証に代替するもので、登記完了後に、新たに登記名義人となった者に、登記所から通知される情報です。登記識別情報は、その登記名義人自らが登記名義人であることを識別することができるもので、12桁の符号のことをいいます。登記所から交付される際は、その12桁の符号の上に目隠しシールが貼られています。その符号は、暗証番号と同じものですので、その符号の管理は充分注意する必要があります。 従前の不動産権利証はその「もの」自体が、不動産の権利を表象するものだったことと大きく相違します。オンライン指定されていない登記所では、従前どおり、不動産権利証が登記所から発行されます。 [6] 登録免許税 不動産の登記を申請するには、登録免許税を納付する必要があります。登録免許税は、登記申請書に収入印紙を貼付することにより、納付します。登録免許税に関しては、登録免許税法に定められています。ただし、個人が居住用に住宅を購入する場合等には、租税特別措置法が適用され、税率が軽減されるケースもあります。登録免許税に関しては、司法書士等の専門家や法務局に確認することをお勧めします。
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