目次 IV-3


3 転籍に伴う転籍前法人の追加負担


Question

 当社は当社の関係会社へ出向させている従業員について、一定年齢に達すると出向先に転籍してもらう、事実上の定年引下げといえる制度の導入を考えています。現在、労働組合に提案している転籍制は、関係会社に出向している57歳以上の組合員と55歳以上の管理職が対象です。出向だと給与較差を補てんする必要があるため、転籍者には割増退職給与を支払い、当社又は出向先関係会社に60歳定年時まで在籍するのと同額の給与・退職給与を保証するシステムです。税務上も問題ないと考えていますが、いかがですか。



Answer

 ご質問のとおりで問題ないでしょう。


 ◆転籍者に対する割増退職給与の取扱い

 前問、前々問のように転籍の場合でも給与較差補てんが認められる可能性がありますが、税務の取扱いも公表されていませんし不安の残るところです。また、この先何年間か較差補てんの負担が残ることは、企業分割等を利用するリストラ手法としては甘いと指摘される場合もあるでしょう。

 そこでご質問のように転籍対象者を広げることで、一時的に特別退職給与の負担は増大しますが、以後の企業の体力強化につなげて他社に比べコスト競争力で優位に立とうとする動きがあります。税務上もこのような退職給与の上乗せは全く問題ありません。

 

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