転籍者の労働時間、賃金等の労働条件はどのようになるのでしょうか
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当然に転籍先の基準に従うことになります。
転籍を法的に説明すれば、次のいずれかであると考えられます。
(1) |
現在の会社と従業員との労働契約を合意解約し、新たに転籍先企業と従業員が労働契約を成立させるとの構成
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(2) |
現在の会社と従業員との労働契約について、使用者の地位を転籍先に譲渡するとの構成 |
いずれにしても、転籍の場合は労働契約関係は完全に転籍先に移転しますので(労働契約の全部が移転する点で一部しか移転しない出向と異なります)、労働条件は当然に転籍先のものが適用されます。
転籍の場合、労働契約関係は完全に転籍先に移転しますので、労働時間・休日・休暇・賃金等、すべての労働条件は当然に転籍先で決定されることとなります。その結果、労働時間が長くなる、あるいは賃金が減少することもあり得ます。出向の場合、その格差を賃金面で補償するケースも多いと思いますが、転籍の場合にそのようなことをすれば税務上の贈与となって不都合ですし、一般的にもそのようなことは行われていません。
したがって、転籍に伴う従業員の不利益は、退職金を割増しする、転籍元よりも定年年齢の高い転籍先を用意する(賃金は減少するが長く勤務できるというメリットとなる)、転籍先で役職に就けるように配慮するなどの点でカバーする他ないと思います。
上述したように、転籍の場合は、転籍に魅力を持たせるために退職金を割増しするという方法が有効ですし、実際にも多くの会社が退職金の割増しを実施しているようです。
退職金の支払時期ですが、
(1) 転籍時に支給する
(2) |
転籍先を退職するときに、転籍元での勤続年数を通算して転籍先の規程に基づいて退職金を算出・支給する |
方法があります。ただ、現実には転籍時に退職金の支給を希望する従業員が多いようであり、(1)が一般的です。 |