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POINT

  • 財産債務調書の提出義務は、「所得額基準」及び「財産額基準」に基づき判定します。
  • 「所得額基準」は総所得金額及び山林所得金額並びに申告分離課税の所得(一部の所得を除きます。)の合計額が2,000万円を超えることをいいます。
  • 「財産額基準」は財産の合計額が3億円以上又は有価証券等の合計額が1億円以上であることをいいます。
  • 「財産額基準」の判定は、国内財産及び国外財産の合計額によります。
  • 財産債務調書の提出期限は、所得税の確定申告同様、その年の翌年の3月15日までであることに注意しましょう。

 提出義務の判定にあたっては、所得額及び財産額のいずれの基準も満たす必要があります。このうち、所得額基準については、総所得金額及び山林所得金額並びに申告分離課税の所得(一部の所得を除きます。)の合計額により判定します。したがって、毎年は所得額基準を満たすことがない人であっても、例えば土地を譲渡した年だけその基準を満たすことがあるため、特に注意しなければなりません。

 次に、財産額基準については、国内財産だけではなく国外財産を含むすべての財産の合計額で判定します。また、その額は、財産から負債を控除したいわゆる純財産額ではなく、財産総額であることに注意が必要です。

1 提出義務者

 所得税等の確定申告書を提出しなければならない人で、「所得額基準」及び「財産額基準」のいずれも満たす人が提出義務者となります。

 実務では、以下のチャートにより判定することができます。

(1)所得額基準

 その年分の総所得金額及び山林所得金額並びに申告分離課税の所得の合計額が2,000万円を超えること。

  <合計額の算定対象の所得>
必ず加算される所得申告することを選択した場合に加算される所得
・総所得金額
・山林所得金額
・不動産の譲渡所得金額
・先物取引に係る雑所得の金額
・上場株式等の配当所得金額
・一般株式等、上場株式等の譲渡所得等の金額
留意点
(2)財産額基準

 その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有すること。
(注) 国外転出特例対象財産とは、有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引をいいます。

留意点

〔基準を満たす場合の例〕

  • ア)国内財産(2億5,000万円)+ 国外財産(5,001万円)
    →「財産債務調書」及び「国外財産調書」の提出義務者となります。
    この場合、国外財産については、「財産債務調書」への個別具体的な記載は不要です。
  • イ)国内財産(2億6,000万円)+ 国外財産(4,000万円)
    →「国外財産調書」の提出は不要ですが、「財産債務調書」の提出義務者となります。
    この場合は、国外財産についても「財産債務調書」への個別具体的な記載が必要です。
2 提出期限及び提出先

(1)提出期限

(2)提出先

3 財産債務調書の記載事項

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