目次 II-5(5)


(5) 定期借地権

 平成4年8月1日に施行された新借地借家法において、借地契約の更新がなく契約期間満了により確定的に借地権が消滅する定期借地権という制度が創設されました。
 この定期借地権には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権及び事業用借地権の3種類があり、その契約内容は次の表のようになります。

区分

用件
普通借地権 定  期  借  地  権
一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用借地権
利用目的 制限なし 制限なし 制限なし 事業専用建物の
所有目的に限定
存続期間 30年以上 50年以上 30年以上 10年以上20年以下
契約更新 終了に関する特約は無効
更新排除の特約可 建物譲渡により
借地権は消滅
なし
再築による
期間延長
期間延長しない
旨の特約可
なし
更新後の
期間
1回目   20年
2回目以降 10年
なし なし なし
建物買取
請求権
あり 原則なし あり 原則なし
設定方式 規定なし 書面による 規定なし 公正証書による
終了事由 正当事由 期間満了 建物譲渡 期間満了

 これらの定期借地権は、原則として、課税時期において借地人に帰属する経済的利益及びその存続期間を基として評価した価額によって評価します。
 ただし、課税上弊害のない限り、次の算式によって評価します。

課税時期における自用地価額 × 借地権設定時における
定期借地権割合
× 定期借地権の逓減率

課 税 時 期
に お け る
自用地価額
× 定期借地権設定時に借地人に帰
 属する経済的利益の総額(※2) 
定期借地権設定時における
その宅地の通常取引価額
× 課税時期における定期借地権の残存期間年数に
 応ずる基準年利率(※1)による複利年金現価率 
定期借地権の設定期間年数に応ずる基
準年利率(※1)による複利年金現価率

 ※1  平成16年3月の基準年利率は、設定期間年数が、いずれの場合も10年以上ですから、1.5%になります。
 なお、平成16年3月の基準年利率は、年数又は期間が長期(7年以上)の場合は1.5%、中期(3年〜6年)の場合は0.5%、短期(1年〜2年)の場合は0.05%になります。
・平成11年8月31日までの基準年利率……6%
・平成11年9月1日以後平成12年12月31日までの基準年利率……4.5%
・平成13年1月1日以後平成13年12月31日までの基準年利率……3.5%
・平成14年1月1日以後平成15年12月31日までの基準年利率……3.0%
 ※2  定期借地権設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額は、次の金額の合計額となります。
(1)  権利金の授受がある場合
 権利金の額
(2)  保証金の授受がある場合
 保証金の授受に伴う経済的利益の額
 = 保証金の額−(保証金の額×設定期間年数に応ずる基準年利率による複利現価率)−(保証金の額×基準年利率未満の約定利率×設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率)
(3)  地代が低額で設定されている場合
 毎年享受すべき差額地代の現在価値
 = 差額地代の額(※3)×定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
 ※3  差額地代の額は、同種同等の他の定期借地権における地代の額とその定期借地権における地代の額との差額をいいますが、権利金や保証金の授受がある場合には、次の算式による前払地代の額を実際地代の額に加算した上で、差額地代の額を判定します。
 権利金の授受がある場合
 権利金の額×設定期間年数に応ずる基準年利率による年賦償還率
 保証金の授受がある場合
 上記(2)の保証金の授受に伴う経済的利益の額×設定期間年数に応ずる基準年利率による年賦償還率

 

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