目次 II-5(6)


(6) 定期借地権の目的となっている宅地

(1) 一般定期借地権以外の定期借地権(建物譲渡特約付借地権と事業用借地権)の場合

 一般定期借地権以外の定期借地権(建物譲渡特約付借地権と事業用借地権)の場合
 一般定期借地権以外の定期借地権の目的となっている宅地(底地)の価額は、原則として自用地価額から定期借地権の価額を控除して評価します。
    底地価額=自用地価額−定期借地権の価額
 ただし、自用地価額に次の割合を乗じて計算した金額を自用地価額から控除した金額の方が低い場合には、低い方の金額によって評価します。

定期借地権の残存期間が5年以下のもの………………………… 100分の5
定期借地権の残存期間が5年を超え10年以下のもの…………… 100分の10
定期借地権の残存期間が10年を超え15年以下のもの…………… 100分の15
定期借地権の残存期間が15年を超えるもの……………………… 100分の20

(2) 一般定期借地権の場合
 一般定期借地権の底地の評価については、定期借地権制度が創設されて6年以上が経過したことから、実際の取引事例を踏まえて、評価方法を改める個別通達が平成10年8月26日に公表されました。
 平成10年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した一般定期借地権の目的となっている宅地の評価は、自用地としての価額から一般定期借地権の価額を控除して評価します。
 この一般定期借地権の価額は、課税時期における自用地としての価額に、次の算式により計算した数値を乗じて計算した金額をいいます。

  (1−一般定期借地権が設定された時点の底地割合)×一般定期借地権の逓減率

 算式中の底地割合とは、一般定期借地権の目的になっている宅地の設定時の価額が、その宅地の自用地としての価額に占める割合を、普通借地権の借地権割合の地域区分別に、次のように率が定められているものです。

  借 地 権 割 合 一般定期借地権が設定
された時点の底地割合
路 線 価 図 評価倍率表






C地域 70% 55%
D地域 60% 60%
E地域 50% 65%
F地域 40% 70%
G地域 30% 75%

 また、算式中の一般定期借地権の逓減率は、次のとおりです。


 この「一般定期借地権の目的となっている宅地」の評価方法の見直しは、一般定期借地権についてだけで、(1)の建物譲渡特約付借地権と事業用の借地権については、従来どおりの評価方法で計算します。
 ただし、一般定期借地権の設定対象地であっても上記の底地割合の表にない、A地域(借地権割合が90%)、B地域(借地権割合が80%)及び権利金の収受の慣行のない地域については、事業用借地権等と同様の従来どおりの取扱いになります。
 さらに、この個別通達による評価方法は、「課税上弊害がない限り」一般定期借地権の底地について適用されます。つまり租税回避行為を目的としたものでない場合や、この方法によって評価することが著しく不適当と認められない場合に適用されるわけです。
 定期借地権者と地主との関係が親族間や同族法人等の特殊関係者間であるものは、課税上弊害がある場合に該当するとされ、事業用借地権等と同様の従来どおりの取扱いとなります。これは、相続人等が定期借地権で、相続によりその底地を取得すると定期借地権は混同により消滅し、完全所有権を取得することになることや、通常の第三者間での取引の場合と状況が異なることに鑑み、無条件にこの個別通達の対象から除外されています。

 

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