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 4 損益通算

 連結納税では、損益通算が可能であるため、連結グループに赤字の連結法人がある場合は、他の連結法人の黒字と相殺することにより、連結グループ全体の税金コストを減少させることができます(法人税法第81条、同81条の2)。

 なお、損益通算は課税所得で行われるため、会計上の利益がプラスである場合でも、関係法人株式評価損、投資有価証券評価損、個別貸倒引当金、減損損失の認容など、臨時多額な将来減算一時差異が実現することにより課税所得がマイナスとなる場合は損益通算の効果が生じることとなります。

 ただし、住民税および事業税では損益通算は生じないため、連結納税によるメリットは享受できません。

 具体的には、下の図表のようなケースで損益通算のメリットを受けることが可能となります。


ケース1:毎年、特定の子会社が赤字となる会社
*1  税前利益から控除可能な繰越欠損金を控除して課税所得を計算している
*2  地方税には連結納税(損益通算)の適用がないため、税金は法人税30%のみで計算している
*3  単体納税の税金は、各連結法人の税金の合計(横計)である
*4  A社は特定連結子法人に該当しないものとする。したがって、連結納税では、A社の開始前繰越欠損金700は連結所得と相殺できない


ケース2:毎年、全社が黒字にならない場合
*1〜3 同上
*4  A社は特定連結子法人に該当するものとする。したがって、連結納税では、A社の開始前繰越欠損金400は個別所得500を限度に相殺可能となる


ケース3:近い将来、子会社で多額な損失が発生する可能性がある会社
*1  地方税では連結納税(損益通算)の適用がないため、税金は法人税30%のみで計算している
*2  単体納税の税金は、各連結法人の税金の合計(横計)である


ケース4:来期、多額な将来減算一時差異が実現する会社
*1〜2同上

 

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