目次 II-3


II−3 収益事業の届出

Question
収益事業に該当するものがある場合には、なにか手続が必要なのでしょうか。また、収益事業を行わない場合にも何か届け出る必要はあるのでしょうか。


Answer

 次の(1)(3)のように提出すべきものがあります。

(1) 主たる事務所を所轄する税務署へ提出するもの

 (1) 収益事業開始届出書
 収益事業を開始した日から2ヶ月以内に提出します。
 提出の際、収益事業の概要を記載した書類、収益事業についての開始貸借対照表、主たる事務所の所在地の略図を添付します。

 (2) 青色申告の承認申請書
 帳簿書類を備え付けてこれに複式簿記の原則に従って記帳を行い、その記録に基づいて決算を行い、原則として7年間これらの帳簿を保存する場合には、青色申告の承認申請を行うことによりその年度の所得と前5年以内に開始した事業年度の欠損金(税務上の赤字の金額)とを相殺することができるなど、有利な取扱いを受けることができます。
 青色申告の承認申請は、収益事業を開始した日から3ヶ月を経過した日と収益事業を開始した事業年度終了の日とのいずれか早い日までに行います。

 (3) 棚卸資産の評価方法の届出書
 この届出書は、収益事業を開始後最初に到来する確定申告期限までに提出します。
 提出しない場合は、法定評価方法である最終仕入原価法で棚卸資産の評価を行うことになります。

 (4) 減価償却資産の償却方法の届出書
 この届出書は、収益事業を開始後最初に到来する確定申告期限までに提出します。
 提出しない場合は、建物は、定額法、建物附属設備、構築物、備品、機械装置は、定率法の法定評価方法で評価を行うことになります。

 (5) 消費税
 消費税は、その法人が行っている事業が法人税法上の収益事業か収益事業以外かに関係なく、課税売上高の金額により納税義務が発生します。次の事由に該当されることとなる場合には、収益事業を行っていないNPO法人も届出が必要です。

 「消費税課税事業者届出書」
 基準期間(その事業年度の前々事業年度)の課税売上高が3,000万円を超える場合には、消費税の納税義務者となります。その場合には、「消費税課税事業者届出書」をその事由が生じたときに、速やかに提出することになっています。

 「消費税簡易課税制度選択届出書」
 基準期間(その事業年度の前々事業年度)における課税売上高が2億円以下である課税期間については、課税売上高から納付する消費税を計算する簡便な方法を選択することができます。この制度を選択したい場合には、適用を受けようとする課税期間開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。

 ただし、いったん簡易課税制度を選択した場合には、2年間は変更が認められません。

 「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」
 消費税の納税義務者であった法人が、基準期間の課税売上高が3,000万円以下となった場合には、その事由が生じたときに、速やかに提出することになっています。


(2) 主たる事務所を所轄する都道府県へ提出するもの

 (1) 法人設立等申告書
 法人設立日から15日以内に、主たる事務所を所轄する都道府県事務所へ提出します。この届出書は、収益事業を行うか行わないかに関係なく、提出が必要です。

 (2) 収益事業開始申告書
 収益事業を開始した日から15日以内に主たる事務所を所轄する都道府県事務所へ提出します。

 (3) 法人等の道府県民税の減免申請書
 例えば大阪府の場合には、条例により収益事業を行っていないNPO法人については均等割申告書の提出期限の2週間前までに減免申請書を提出することにより、府民税均等割(最低額は2万円)が減免されます。
 各NPO法人において、都道府県の条例を確認するか、所轄の行政機関に問い合わせをした上で手続を行ってください。


(3) 主たる事務所を所轄する市町村へ提出するもの

 (1) 法人設立・事務所等開設申告書
 法人設立の日から2ヶ月以内に主たる事務所を所轄する市町村長に提出します。
 この届出書は、収益事業を行うか行わないかに関係なく、提出が必要です。

 (2) 法人等の市町村民税の減免申請書
 例えば大阪市の場合には、条例により収益事業を行っていないNPO法人については均等割申告書の提出期限の2週間前までに減免申請書を提出することにより、市民税均等割(最低額は5万円)が減免されます。
 各NPO法人において条例を確認するか各市町村に問い合わせを行ってください。

 (3) 法人・事務所等異動届(収益事業開始届)
 収益事業を開始した場合に遅滞なく主たる事務所を所轄する市町村に提出します。

 

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