目次 I-8


8 併せ給付等で退職金を分割支払する場合の会計処理


Question
 当社は税制適格退職年金制度を採用しています。このたび、退職給付規程を改訂して給付の減額を行い、減額分に対する従業員の年金資産は従業員の退職時に支払うことで合意しました。この場合の会計処理はどのようにすればよいのですか。



Answer

 税制適格退職年金制度では、併せ給付という形態を採用することができます。税制適格退職年金制度での年金資産は従業員に帰属するため、規程改訂等で給付減額が行われた場合には、減額分の年金資産は従業員に分配しなければなりません。しかし、労使の合意のもとで、加入者別に給付すべき額及び退職時に給付することを年金規程の附則に明記した場合には、この分配にかえて、退職時に税制適格退職年金制度からの給付と併せて給付することができます。この支給形態を併せ給付といいます。

 規程改訂等で、年金資産の分配を伴う給付減額は、退職給付制度の一部終了に該当するとの見方がありますが、これを一部終了としないで、退職給付制度が継続しているものとして取り扱い、退職給付引当金を計上する方法もあります。

 実務対応報告では、退職給付制度が継続しているものとして取り扱う方法が適当とされていますが、適当とされていますが、その理由は、(1)併せ部分を含む税制適格退職年金制度は存続していること、(2)年金資産の運用リスクが事業主に残っていること、(3)従来と同様に支払時期が確定していないことによるものです。

 また、これと同様に退職一時金制度を廃止し、退職金を退職時に支払うこととしている場合には、併せ給付と同様に退職給付制度の終了とせず、退職給付制度が継続しているものとして、退職給付引当金として取り扱うことが適当と考えられます。


 参考: 実務対応報告第2号「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(平成14年3月29日企業会計基準委員会)Q4

 

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