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6 年金資産からの支給又は分配 |
厚生年金基金制度や基金型確定給付企業年金制度を解散する場合、あるいは税制適格退職年金制度や規約型確定給付企業年金制度を全部解除する場合には、年金資産の全額を従業員あるいは受給者、待期者に分配しなければなりません。 なお、確定給付型の退職給付制度である退職一時金制度に移行する部分は継続処理を行い、その他の部分は終了の会計処理を行うことになります。 (1) 厚生年金基金制度の解散 代行部分返上の経過措置を適用した場合には、代行部分返上後、確定給付型の退職給付制度に移行するという計画のもとで認可を受けていますので、解散することは通常ないのですが、最近は、厚生年金基金の財政悪化の状況により、解散認可も増えてきています。この場合は、代行部分の過去分すなわち最低責任準備金部分を国へ返上した後、残余財産を従業員あるいは受給者、待期者に分配することになります。 ご質問のように従業員の過去期間分(既得権分)をすべて保障する場合、残余財産を分配した後になお分配不足部分が生じることがあります。このときは、企業が現金で不足分を追加支払するか、本問のように他の退職給付制度(退職一時金制度)に移行することが必要です。会計処理としては、分配した部分については終了処理を行い、退職一時金制度に移行した部分は移行前後を一体のものと考え、継続処理を行います。 (2) 税制適格退職年金制度の解約 税制適格退職年金制度を解除した場合も、退職給付債務のうち分配した部分に相当する部分の終了処理を行い、他の退職給付制度(退職一時金制度)に移行した部分を継続処理します。 (3) 過去勤務期間分の給付減額を行う場合 過去勤務期間分の給付減額を行う場合は、厚生年金基金制度、規約型確定給付企業年金制度及び基金型確定給付企業年金制度においては、所定の手続により年金資産の分配を行わないことができます。しかし、税制適格退職年金制度においては、原則として、年金財政計算上の債務の減少に見合う額を従業員に分配しなければなりません。 この場合、年金資産からの分配がある場合には、その部分については退職給付制度の終了に該当します。 |